みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

ガウス記号を使ったちょっとした小技

アクセスいただいている様子を見ていると,意外とガウス記号に関するネタへのアクセスが多いなあと感じています.そこでというわけでもないですが,ちょっとしたネタを書いてみます.

ガウス記号って「1きざみ」ですが

関数: y = [ -x^2 + 25 ]のグラフは,きれいな「だんだん畑」または「たな田」の山ような形状になっています.そして,その高さは 1ずつ上がっていくようになっています.これを「5きざみ」で上がるようにする=高さ 5で切っていくようにするにはどうすればいいでしょうか?という話です.地図でたとえれば,等高線の間隔を変えるのと同じような内容です.
わかりますか?

ガウス記号自体はあくまでも「1きざみ」なので,入る関数の方を工夫する必要があります.いまの場合,「5増えたら,1上がる」という感じになるので,一度入る関数を 5で割ります.
  \displaystyle{ \left[ \frac{-x^2 + 25}{5} \right] }

このままでは,山の高さは 25÷5=5のままになってしまうので,5倍して元に戻します.
  \displaystyle{ 5 \cdot \left[ \frac{-x^2 + 25}{5} \right] }

後からかけた 5を括弧(ガウス記号)の中に取り込めそうな気がするかもしれませんが,それはできません.逆にできてしまうと,ガウス記号の意味が失われてしまいます.式の上でいじるのであれば以前のネタでもやっているように,x = n + \alphaと整数部分と小数部分に分けて考えて,
  \begin{align}  5 \cdot \left[ \frac{-x^2 + 25}{5} \right] &= 5 \cdot \left[ \frac{-(n + \alpha)^2 + 25}{5} \right] \\ &= 5 \cdot \left[ 5 - \frac{n^2 + 2n \alpha}{5} \right] \end{align}

 n^2 /5, \ 2n \alpha/5の各項がどのような値をとるのかによって,ガウス記号全体の値も変わってきます.

割ってから整数部分を調べ,その割る数を後からかけるという計算は,過去のネタでも登場しています.古い話ですが,2014年センタ試験 数学IIB第6問の解説もどき~その2~ - 理系男子の独り善がり素数の判定法です.素数であるかどうかというよりは, Dという数がある数  Kで割り切れるかどうかという判定で,
  \displaystyle{ D = \left[ \frac{D}{K} \right] \cdot K} が成り立つか否か

を考えています.もし  Dが割り切れなければ,ガウス記号で端数が落とされた分だけ左辺の  Dよりも小さくなってしまいます.

四捨五入もやっちゃう?

小数第1位を四捨五入することを考えてみます.今度は,1より小さい世界です.小数部分が  1/2より小さいか,それ以上かという話になるので,
  \displaystyle{ [ x ] + \left[ 2 \cdot \left( x - [ x ] \right) \right] }

で四捨五入ができます.小数部分を 2倍に「拡大」することで,1よりも大きいか小さいかという判定をしています.任意のケタ(小数第3位や百の位など)で四捨五入をする場合は,100倍するなり,1000で割るなりしてケタを合わせて、その後 100で割るなり,1000倍するなりして戻せばいいです.百の位で四捨五入する式は以下のようになります.
  \displaystyle{ 1000 \cdot \left\{ \left[ \frac{x}{1000} \right] + \left[ 2 \cdot \left( \frac{x}{1000} - \left[ \frac{x}{1000} \right] \right) \right] \right\} }


いずれの場合も,式でどういう操作をしているのかをじっくり観察してみて下さい.あえて載せませんが,グラフで出してみるとちょっとだけ「おおーっ」という気分になれます(笑).