みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

Phys-Wav

「2024年京大物理第3問」のメモ

京大さん第3問は,昨年に引き続きちょっと見たことのない波動シリーズ第2弾になっています.同じジャンルが 2年続くというのも珍しいですね.いまのインフラにはかかせない,光ファイバーを取り上げています. (1) 全反射 [あ]~[う] 今年の共通テストにも出…

「2023年京大物理第3問」のメモ

京大さん第3問は,波動に関する問題ですが,なかなか見かけないタイプの問題だと思います.下手をすると,初っ端から意味を捉えられずに全敗という可能性もある問題だと思います. 電場の振動する方向を,偏光の方向と呼びます.これは一般的にもこのように…

「2021年京大物理第3問」のメモ

京大さん第3問は,波の問題です.前半はX線,後半は中性子の物質波を扱います.解いてみての感想は「すっごい前振りをしておいて肩透かし」です.そのワケについては後ほど. (1) 空気と結晶内の屈折率が同じであるときの干渉条件 結晶だなんだといってます…

「2019年京大物理第3問」のメモ

京大さん第3問です.お題としては「薄膜の干渉」という問題ですが,正弦波の式の扱いがあったり,無限回の透過・反射があったり,なかなか濃い内容になっています.そして,問題が長いだけでなく,盛り込まれている情報が多い(反射率と透過率の組合せ)ので,…

「2019年同志社大物理[ II ]」のメモ

この問題も面白いところがあったので,メモを書いていきます.(実は一度公開していましたが,だいぶ書き直して再公開です) 問題は,2つの音源から同じ振幅,同じ周波数である音波を発しているところからはじまります.音波というとちょっと難しく聞こえます…

ドップラー効果~その3:応用と発展~

キャッチボールからドップラー効果の話へときましたが,この話をするきっかけと,ちょっと考え方を広げた内容を書いていきます. まわりには聞こえない音 先日,高速道路を 280 km/hで爆走したというニュースがありました.大阪と奈良を結ぶ道路なので,わた…

ドップラー効果~その2:入試問題から~

初級編と中級編(ぐらいと思われる)問題をそれぞれ 1題ずつ挙げていきます.すみません,ちょっと長いです. 初級編:平成26年度センター本試験 物理I 第3問 ベルトコンベアでドップラー効果を説明したちょっとややこしく見える問題です.平成26年度センター…

ドップラー効果~その1:公式の導出~

前回のキャッチボールの話のつづきです.次は,ボールの代わりに「音波」を投げ(?)ます.前回と同様に「時間間隔が変わる」話をして,その結果ドップラー効果が現れることを示します.まあ,教科書の復習のようなものです.Pさんをスピーカーに変えました.…

ブブゼラって覚えてますか?~周波数スペクトルと対数計算~

前回予告した「懐かしい話」というのは,そうブブゼラのことです.覚えてますか?サッカーW杯南アフリカ大会(2010年)で一躍有名になった楽器です.長さが 1mぐらいの細長いラッパのような形をしています.そして,これを鳴らすと非常に大きな音がします.こ…

なぜ正弦波で話をするのか?~フーリエ変換とスペクトル~

去年の夏に書いた「うなり」のネタの補足的な内容です.そこでおこなった計算の応用が後でいろいろと出てきますので,先に以下を一読の上,読んでもらえればと思います. 「うなり」の数学的考察~その1~ - 理系男子の独り善がり 「うなり」の数学的考察~…

「音波の干渉 with 壁で反射」のまとめ

大阪大,京都大と関西国公立の2大巨頭で,「音波の干渉 with 壁で反射」で指摘を受けるということになりました.ちょっとポイントをわたしなりに整理してみました.必要な考え方や情報は以下を参照いただければよいかと. 縦波の反射~2017年大阪大物理[3]の…

「疎密波の密度変化が変位の微分で与えられること」の備忘録

大阪大の問題*1の延長戦です.2018/01/12の追加資料 6ページ目に書かれている以下の内容についてです. 「微分」といってるぐらいですから 微小区間で考えることにします.また,密度「変化」を考えるので,「もとの密度(疎密波が到達する前の密度)」と「疎…

音叉の振動モード

大阪大の音波の問題の続きです.大阪大から 2018/01/12に公表された追加資料では,以下のような内容が書かれていました. 「音叉の振動モードは複数存在し,それにより答えが変わる」 今回は,そのあたりを少し掘り下げておきたいと思います. 音叉の振動モ…

縦波の反射~2017年大阪大物理[3]のメモ~

※すみません,2018/01/11にタイトルを修正しています.(“縦波の反射”←”縦波の反射波”) 2018/01/13 大事な追記 スッキリできるやっぱりできない説明が本家から出てきました. 理科問題(物理) 〔3〕Aの解説(1月12日追記)「壁での反射」がどうこうという話では…

「うなり」の数学的考察~その2~

前回の最後に書いていた問いからはじめましょう.2つの正弦波の合成について, 合成波の式における振幅の周波数は なのに, 音の大きさを与える振幅の 2乗の周波数は となりました. この違いは何でしょうか? これは正弦波のグラフを描いてみればわかること…

「うなり」の数学的考察~その1~

今夏の自由研究というわけではないですが,高校物理の波動で出てくる「うなり」についてです.公式も「うなりの回数」を求めるぐらいにしか使わないので,あまり注目されないところではあります.今回は,ここを突いてみようと思います. 途中,三角関数の加…

津波は水の「かたまり」

先日,チリで発生した大地震で日本に津波が到達,15時間に渡って津波注意報が発令されるということがありました.波の性質から津波のことを考えてみたいと思います. 下の動画は,今回の津波の様子をシミュレーションした動画です. Tsunami Animation: Nort…

寒い夜だから(音の蜃気楼)

むかしTRFがこんな曲を歌っていました。明日はセンタ試験2日目、冷え込むようです。そして、晴れていると星空がきれいに見えるものです。しかし、冬の夜にはこんなこともまま起こります。 遠くの音がよく聞こえる 昼間だと近所でしか聞こえないような音が、…