ここ最近はずっとガソリン価格が高止まりしていますね。ちょっとでも燃費を上げて、お財布を暖かくしたいですね。よく言われていることではありますが、それを物理な目線でとらえてみたいと思います。
エコドライブ 10のすすめ
が書かれているサイトがありました。⇒エコドライブ普及推進ポータルサイト
そこからお借りして、10か条を書くと
- ふんわりアクセル「eスタート」
- 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
- 減速時は早めにアクセルを離そう
- エアコンの使用は適切に
- ムダなアイドリングはやめよう
- 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
- タイヤの空気圧から始める点検・整備
- 不要な荷物はおろそう
- 走行の妨げとなる駐車はやめよう
- 自分の燃費を把握しよう
車が停止しているときの話(第5条や第9条)や心がけのような内容は、今回の物理的な話からは外しておきます。
運動方程式から学ぶ
運動方程式はおなじみの式
(:物体の質量、:加速度、:物体にかかる力)
です。自動車にはたらく力は、主に「動力源(エンジンやモーター)から得るトルク」「摩擦力」「空気抵抗」「重力」です。空気抵抗は車体の特性として決まり、重力は道路の形状(坂道など)により決まり、ドライバが調整できるパラメータとはなりません。ということで、「トルク」と「摩擦力」を調整できるパラメータとして考えていきます。
まず、急な加速・減速は、大きな速度の変化すなわち大きな加速度がかかることを意味しています。ですから、急なアクセル操作は控えるべきということになります。これは第1条~第3条に該当します。
また、車の質量が大きければ、大きなトルクを必要とします。これを小さくするには第8条のように不要な荷物はおろすということになります。「あなたは乗らないで」って言われると、悲しいですが。さらに、車の質量が大きいと、摩擦力も大きくなります。物体が動き出す直前にかかる摩擦力(最大静止摩擦力):は次の式であたえられます。
(:静止摩擦係数、:垂直抗力)
は地面に対して垂直にはたらく力、つまりは車の質量に相当するものです。よって、車が動き出す直前に必要となるトルク:は
となります。重い車は大きなトルクを必要とするということです。
ドライブには「感性と慣性」が必要
運動の第 1法則は「慣性の法則」です。アクセルはエンジンを回す「スイッチ」なわけですから、そのスイッチにはなるだけ触れないようにすることがポイントです。直線の比較的流れの良い道路であれば、「車を滑らせるような感覚」で慣性を利用することがポイントです。これは第3条に該当します。
タイヤの空気圧は摩擦に影響している?(第7条)
上でも述べているように、摩擦力は「接地面積」には依存していないことがわかります(高校物理の範囲で理論的に考えてる限りということですが)。実際、空気圧が低すぎると、タイヤの変形と復元の繰り返しによるエネルギーロスが大きくなり、このロスが抵抗の大部分を占めています。では、空気圧が高ければいいのかというと、横方向のグリップ力が低下するという問題が出てきます。やはり、定期的な空気圧チェックが必要です。
タイヤの主成分であるゴムは、物理的に面白い性質をもっています。また、どこかでそのことを説明できれば。と思っています。
エアコンは使わない?(第4条)
使わないで走れるのなら、それがベストだと思います。でも、きちんとした運転環境を保つためには、使わないわけにはいきません。また、温度調整でなくても結露によるガラスの曇りをとるために使うこともあるでしょう。
使うとなったとき、「冷房なら高めにした方がいいのか」「内気循環がいいのか、外気吸入がいいのか」といったところが気になるところです。
冷房の温度調節は外気との混合でおこなうそうで、冷房の温度自体は変わらないそうです。ただ、急に低い温度に設定すると、エアコンがフル回転してしまうことにはなるので控えた方がよいとのことでした。
内気・外気については、それなりの一長一短があるようです。基本は内気循環がよいようです。ただ、車内の一酸化炭素濃度が高くなるので、長距離運転の際には適度な休憩をとることで、それを解消する必要があります。
同時にブレーキを踏めば、車間距離はなくてもいい?(第2条)
たまに「あおり」をしてる車を見かけますが、正直「ぶつかりたいリスク」を上げているだけでなく周囲に恐怖感を与えており、運転がうまいとは言えないと思います。隣の車線にも動けない、自分の進行方向の幅を狭めているだけだということです。運転がうまい人は状況を予測して、早めに車線を切り替えていくのです。
「反射神経で前の車と同時にブレーキを踏めばいい。」という反論が出てくるかと思いますが(このような言い分をしている時点で残念な感じですが)、これは都合のいい環境でしか考えていないことになります。具体的に言えば、摩擦力が一定という理想的な環境での反論だということです。
前の車が通過した路面は、多少なりとも路面の状況が変わってきます。特に、積雪や凍結をしているような状況では、タイヤと道路との摩擦熱により表面に水の膜ができて摩擦力が極端に低くなっている可能性があります。結果、前の車よりも制動距離が長くなり、同時にブレーキを踏んでも止まり切れず衝突ということになります。
エコドライブは単に燃費向上だけでなく、事故のリスクを抑えるという効果もあると思います。安全に楽しみたいですね。