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理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

冬季オリンピックの物理

もうすぐソチオリンピックが始まります。時差は 5時間ということなので、微妙に寝不足になる人も多くなりそうですね。

 

冬季オリンピックの競技種目

こういうのは Wikipediaを調べるのがいいですね。調べてみると、以下のようになります。

当然のことですが、冬の競技は「雪」「氷」の上でおこなうものですから、何かしらの「道具」を介した競技になります。となると、物理的な目で考えられる部分も多いと思います。そのようなことを書いてみようと思います。

 

「滑る」物理

スケートやスキーは、「滑る」ことが基本となっています。しかし、「なぜ滑るのか?」という問いに対する明確な答えは、まだ完全ではないようです。スケートに関しては、刃と氷の間に水の膜ができることで摩擦が減らされていることまではわかっていても、なぜ水の膜ができるのかははっきりしていません。

スキー板と雪の間、カーリングのストーンと氷の間、アイスホッケーのパックと氷の間の関係と「滑る」ということに関しては謎が多いです。そもそも、物体間の摩擦力についても、謎の部分が多く、原因がはっきりしていません。摩擦の根本がわかれば、滑ることの根本もわかるのかもしれません。

 

スキージャンプの「ほこたて」

スキージャンプは金メダルの期待も高いので、見る人も多いのではと思います。スキージャンプは「あること」さえ無視すれば、高校物理の問題として十分使える内容になります。助走時では力学的エネルギー保存則を用い、ジャンプ後は放物運動を考えればよいわけです。

無視できない「あること」とは、空気抵抗です。助走時には避けたいのですが、ジャンプ後には利用したいものとなります。これが「ほこたて」なのです。

  • 助走時は、当然のことながら速度が欲しいので、前傾姿勢で空気抵抗をなるだけ小さくします。
  • ジャンプ後は、空気抵抗を利用しつつ揚力を得ることで、なるだけ「長い時間落ち続ける」ことを狙います。そのために、V字飛形をとったり、風を気にしたり(弱い向かい風が好まれる)します。もちろん、強すぎる抵抗はマイナス要素にはたらいてしまいます。

助走に対する工夫として、ワックスの存在(摩擦力への対応)もあります。ワックスの調整によって、助走速度もだいぶ変わるらしいです。ソチは雪不足が心配されるほど、比較的温暖な気候なので、ワックスの選定次第で大番狂わせが起きるかもしれません。

 

「開いて閉じて」高速スピン

フィギュアスケートも期待が高いですね。個人的にはなんか独特な雰囲気がありすぎて、あまり好きではなかったりもするのですが(笑)。4回転ジャンプやトリプルアクセルといった大技ジャンプがキーポイントですね。大技ジャンプには、高いジャンプも必要ですが、高速な回転も必要です。この高速回転を得るには「角運動量保存則」を利用します。

実際、ジャンプをする瞬間までは腕を開き、ジャンプ中には腕を閉じます。以下のような物理的な効果を得ています。

  • ジャンプをする瞬間までは、大きな慣性モーメントから高い角運動量を得ておき、
  • ジャンプ中には、慣性モーメントを小さくすることで大きな角速度を取得する(回転数を上げる)。
  • 着氷後は、逆に回転を抑えたいので、また腕を開く(バランスをとるという目的もありますよね)。

これはジャンプだけでなく、普通のスピンでも同じことが言えます。よく演技の最後で腕を体の前にクロスして、どんどん回転が早くなっていくのがありますね。

 

カーリング

ってテレビでちょくちょく見るわりには、リンクの名称など全然知らなかったりしますね。ハウス(赤と青で塗られたサークル)の中心までの距離は 38メートル弱もあるそうです。これは、野球のホームベース~2塁間よりも少し短いくらいの距離です。

たとえば、ストーンを初速:v0で投じ、なにもせずにハウスの中心に止めることを考えます。なにもせずというのは、スイープ(ブラシでこする行為)やカール(ストーンを回転させること)はしないという条件です。ストーンの質量を m、ストーンと氷の摩擦係数を μ、ハウス中心までの距離を S、重力加速度を gとおくと、力学的エネルギー保存則より

 1/2・m・v0^2= μmg・S

 v0=√(2μgS)

となります。また、等加速度直線運動の式からも、この結果を得ることができます。こちらを用いれば、ストーンが止まるまでの時間は √(2S/μg)となります。

滑る距離とその所要時間を測れば、摩擦係数が計算できることになります。まあ、そんな計算をいちいちする人はいないでしょうが。