数列の和についてです.Σ記号だけでなく,少々ひねった和についても.
いきなりですが,特殊な数列を一つ
取り上げます.一般項が次のように表される数列です.
は の関数を表しています.有名な例は「部分分数」の問題です.この和は
となります.一般項を与えている式の が や になると,消える項も変わってきます.先頭と末尾の数項を書き出して,よく観察する必要があります.
部分分数もよく出るものですが,次の公式への前フリでもあります.
記号
とりあえず,公式から
1次の和(1式)については,ガウスが小学生のときに「1~100の和を即座に求めた」という逸話にもある方法で求めることができます.
と,n+1が n組できることを利用します.
2次の和(2式),3次の和(3式)が曲者です.ここで,先の例を利用します.
書かれている式自体にすら曲者感がありますが,赤字になっている項がポイントです.
- 右側:赤字の項を の形にすれば,総和の計算は難しくない.
- 左側:赤字の項を展開すれば,で表すことができる.
という二刀流を用いています.実際に「公式を示せ」タイプの問題として,入試問題にも登場しています(ex. 2010年九州大学文系).
一般項が(等差数列)×(等比数列)となる数列の和
こちらもいきなり感がありますが,ポイントは「倍して引く」です.を等差数列,をその公差とすると
となんだか難しい式が現れました.しかし,あくまでもポイントは 倍して引いたことで,等差数列が消えるところです.
このややこしい式で,とおいてみると,
と 1行目の は等比数列の和となっていて,導かれた も等比数列の和の公式として与えられています.つまり,等比数列の和の公式も「倍して引く」ことで導かれるということです.え!と思った人は,教科書を見直してみてください.そして,この等比数列の和の公式を少し変形すると,
のわな(トラップ)
記号は公式として使いこなすと便利なものですが,たまに「引っかけ」というか「引っかかる」ような和に出くわすことがあります.
次のような和は計算できますか?答えは次の回に.