理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

津波は水の「かたまり」

先日,チリで発生した大地震で日本に津波が到達,15時間に渡って津波注意報が発令されるということがありました.波の性質から津波のことを考えてみたいと思います.

下の動画は,今回の津波の様子をシミュレーションした動画です.


Tsunami Animation: Northern Chile, 1 April 2014 ... 

 

まずは,水の「かたまり」から

タイトルにも書いたものです.これは,東日本大震災での津波の映像を見て感じたことです.震源の真上にある(海底から海面までの)水全体が動かされるので,いわば「底から丸ごと水を持って来られる」形となります.表面だけが風であおられるようなものとは違うということです.

海中においても「潮の流れ」として影響が及ぶので,「海岸または海中での作業に注意」というアナウンスがあったわけです.

 

そして「高さ60センチ」でも「足元をすくわれる」

お風呂に湯を張ると,だいたい深さは45~60センチぐらいになります.そこに足を入れて,前後に蹴るような運動をさせてみます.これは結構なエクササイズになるのではないでしょうか?高さ60センチの津波では,それに近い,またはそれ以上の流れがつねに足にかかるわけです.そこで足を抜いても,次に足を下ろす先にも流れがあるわけです.そう考えれば,想像するだけでも恐ろしい状況だと思います.

 

津波の速さ

先日のチリの地震では,地震発生(日本時間 4/2朝9時前)から日本への到達(第1波:4/3朝7時ごろ)ということから,22時間ほどかかっていることになります.これは,1960年のチリ地震津波の到達時間とも一致する時間となります.

津波の速さは,簡単な式で表すことができます.

 v=√(g・d)

gは重力加速度,dは水深になります.

ここで,ちょっと簡単な計算をしてみましょう.チリ~日本はおおよそ17,000km離れています.その間を22時間かけて移動したということは,津波の速さは

 17,000[km]÷22[時間]≒770[km/時]

であったことになります.これを上の速さの式に770[km/時]=213[m/秒]を代入して,

 213[m/秒]=√(9.8[km/秒^2]・d[m])

 d≒4,629[m]

水深はおおよそ4,600mと求まりました.太平洋の平均水深は4,000mということなので,公式の精度は悪くないことがわかると思います.厳密には,陸地に近いところでは,上の公式のままでは当てはまらず,それ相応の誤差が出ているともとらえることができます.

 

第1波が大きいとは限らないワケ

波には,反射・屈折・回折という性質があります.これらの性質によって,第2波以降の方が大きな波になることもあるわけです.

  • 反射は,その字のとおりはね返されるという性質です.上の動画でも波紋模様が重なって交差しているところが現れます.ニュージーランドあたりで顕著に見られるように思います.反射した波が時間差で重なることで,大きな波になることもあるわけです.
  • 屈折は,波の速さの差によって生じます.上の式にもあるように,水深によって速さが異なることでおこります.海底の形状によっては,レンズのように波が集められる場合もあるわけです.
  • 回折は,波が回り込むことです.これも動画のニュージーランドあたり(今度は裏側)で顕著に現れます.ただ,回折された波はある意味フィルタされたものとなるので,影響は小さくなります.

ほかに入り江の形状によっても高さが増幅されることがあります.同じ量の水を広い容器に入れるか,狭い容器に入れるかで深さが変わることと同じです.加えて,深さによって速さが変わることも,頭に入れておかなければなりません.つまり,V字谷のような入り江では,奥に行くほど高さは高くなり,速さは増すことになるわけです.

 

最近では,古文書などから被害の想定をするといったことも研究されているそうです.まだまだ地震に関する予報・予測は進化過程だとは思いますが,予報はきちんと聞いて,早め早めの行動を心がけたいものです.