補足だらけになってますが,対角化を用いた例を挙げておきます.
問題
蜜が付いている2つの棒A,Bがあります.1匹のハチが,どちらかの棒に止まります.棒から飛びった後,再び棒に止まりますが,他方の棒に移る確率は (もといた棒に戻る確率は )です.ハチがはじめ棒Aに止まっていたとして,回目の移動の後にそれぞれの棒に止まっている確率を求めなさい.
高校数学的に解くのであれば,棒Aに止まっている確率を ,棒Bに止まっている確率を として,漸化式を立てて解くことになります.しかし,その漸化式をちょっと書き換えると,
となります.が求められれば,が求まります.という文字が入っていますが,幸い固有方程式は簡単に解くことができます.
あとは手順どおりに対角化をおこない,を計算します.ちなみに,行列 の右上と左下の値が等しい(いまの問題であれば,のところ)とき,固有ベクトルは直交するという性質があります.
とすれば,答えが求まります.
固有ベクトルが「ブレない軸」の方向を与えているので,これらを新たな軸とし,その1次結合で状態を表すという手もあります.
は固有ベクトルの大きさを1にするためにつけたものです.このような表示は量子力学でよく用いられる表現になります.
最後の補足は,こんな方法もありますよ@高校数学.という程度に見てもらえればよいかと思います.自分の整理のためにも,だいぶつらつらと書いてきましたが,改めて1次変換はなかなか奥が深いなと感じました.