みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

1次変換の補足~その3~

補足だらけになってますが,対角化を用いた例を挙げておきます.

 

問題

蜜が付いている2つの棒A,Bがあります.1匹のハチが,どちらかの棒に止まります.棒から飛びった後,再び棒に止まりますが,他方の棒に移る確率は  \omega(もといた棒に戻る確率は  1 - \omega)です.ハチがはじめ棒Aに止まっていたとして, n回目の移動の後にそれぞれの棒に止まっている確率を求めなさい.

 

高校数学的に解くのであれば,棒Aに止まっている確率を  p_n,棒Bに止まっている確率を  q_nとして,漸化式を立てて解くことになります.しかし,その漸化式をちょっと書き換えると,

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となります. A^nが求められれば, p_n, \ q_nが求まります. \omegaという文字が入っていますが,幸い固有方程式は簡単に解くことができます.

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あとは手順どおりに対角化をおこない, A^nを計算します.ちなみに,行列  Aの右上と左下の値が等しい(いまの問題であれば, \omegaのところ)とき,固有ベクトルは直交するという性質があります.

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 p_0 = 1, \ q_0 = 0とすれば,答えが求まります.

 

固有ベクトルが「ブレない軸」の方向を与えているので,これらを新たな軸とし,その1次結合で状態を表すという手もあります.

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 \displaystyle{ \frac{1}{\sqrt{2}} }固有ベクトルの大きさを1にするためにつけたものです.このような表示は量子力学でよく用いられる表現になります.

 

最後の補足は,こんな方法もありますよ@高校数学.という程度に見てもらえればよいかと思います.自分の整理のためにも,だいぶつらつらと書いてきましたが,改めて1次変換はなかなか奥が深いなと感じました.