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理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

三角形の面積を二等分する「垂線」

Math

解けそうで解けないと思ったら,解けちゃったという感じの問題です.タイトルどおり,問題自体はいたってシンプルです.

 

問題

三角形ABCにおいて,AB≧ACとする.辺BC上の点Sより垂線を引き,三角形ABCの面積を二等分する.点Sはどのような点として表されるか?

 

まずは中学数学の範囲で

基本的な考え方は「等積変形」です.平行となる2本の線を引いて,その間にある三角形は面積が等しくなるというアレです.点Aと辺BCの中点(点M)を結んだ線が面積を二等分するので,それを基準に垂線(を与える点)が満たすべき条件を求めます.

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「平行であること」と「垂直であること」が条件になります.点Sと点Tと2つの点が与えられていますが,点Sが与えられれば点Tは自動的に決まるので,最終的な条件は1つになるはずです.このことも,以下の計算で示していきます.

 

高校数学へステップアップ

これらの条件を「ベクトル」で考えます.以下,AB→=b→,AC→=c→と表すこととします.当然,これら2つのベクトルは1次独立です.点Sと点Tを与えるパラメータとして,実数s,tを以下のように置きます*1

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「平行であること」の条件は,係数の比が等しいという式になります.

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「垂直であること」の条件は,定番の内積がゼロという式になります.

f:id:miwotukusi:20141115144153p:plain

sを消去してtを求めることになるのですが,内積b→・c→をどうにかしなければなりません.そこで,b→・c→=|b→||c→| cosθに余弦定理をぶつけてあげます.すると,そのまま

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と書き換わります.tをsで表すことで,sを辺の長さを用いて表すことができます.

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\displaystyle{ BS=\frac{\sqrt{BC^2+AB^2-AC^2}}{2} }という結果になりました.点Sは,点Mと点Aの真下の点(垂線の足)の間にあることがわかります.AB=ACならば,点Mに一致しますね.

 

で,この結果が果たして正しいのかどうか.すなわち,分割された三角形BST or 四角形ACSTは等しくなり,二等分されているのか.という確認ですが,三角形BSTにおいて,BS=s・BC,BT=(1-t)・AB=1/(2s)・ABであることから簡単に示すことができます.

 

結果が出たところから,もう一歩

BSが求められたところで,点Sを作図で求められないかを考えてみます.「点Sを作図で求める」というよりは,「BSという長さを作図で取り出す」という手法を考えてみました.BSが辺の長さの2乗を足したり引いたりした結果になっているので,ピタゴラスの定理を応用することを考えればいいわけです.たとえば,以下のような順序で点Sを作図することが可能となります.

  1. L=√(AB^2-AC^2)となる長さを「ABが斜辺となる直角三角形」を考えることで求め,
  2. 2×BS=√(BC^2+L^2)を「斜辺がBSとなる直角三角形」を考えることで求める.
  3. 最後に,2×BSの中点が点Sになる.

この中でちょっと難しいのが手順1です.「斜辺ともう1つの辺の長さがわかっている直角三角形を作図する」ことをおこなわなければなりません.これは,辺ABを直径とする円を描くことで解決します.円周角の性質を利用(円周上にある角は直角になる)するわけです.

手順2は,点Cにおける辺BCの垂線を引いて,直角三角形を描くことで,そのまま手順3に続けて作図をおこなうことできます.全部を書き込むと図がぐちゃぐちゃになってしまうので,手順ごとに分けたイメージ図をつけておきます.

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基本的な考え方や作図は中学数学,計算のところだけ高校数学という,ちょっと特異な問題だと思います.ヒント(小問)なしで,「点Sを作図せよ.」という問題なんか出されたら,結構ヘビーな問題かもしれません.

最後に,解法は他にもあるかもしれませんのであしからず.

*1:2014/11/26追記:BT→=t・AB→と置いた方が後の式を少し簡単にできるかもしれませんね