以下,解答のすすめ方を記していきます.整数問題としては定番ともいえる形なので,難易度はそう高くないはずです.ただ,扱っている数が比較的大きな数なので計算間違いを引き起こしやすい問題ではあります.
問題を式に表す
まず,この問題の内容を式に表してみます.
- 「2014で割ると10あまり」⇒ このような数は,2014m+10と表され
- 「2015で割ると11あまる」⇒ このような数は,2015n+11とも表される
ということから,
2014m+10=2015n+11 …(1式)
を満たすmまたはnを求め,そこから最終的な値を求めることになります.未知数2つに対して,条件式が1つしかないため,このようは方程式は不定方程式と呼ばれます.不定といっても,方程式なのに条件が足りないとは「ふていやろうだ!」という意味ではありません(笑).
ここでは,一度「最小の自然数」という条件は外しています.これは最後に加味すればよい内容です.
オマケ1:解の候補
さて,このような(m,n)はいくつあるでしょうか?大きな数を探していけば,いくらでも見つけられそうです.実際,答えは無限にあります.その無限にある解を一般解として求めることを考えていきます.
その前に,たとえば次のような数を求めろと言われるとどうでしょうか?
「2014で割り切れ,2015でも割り切れる数は?」
これは中学生でも答えられますよね.2014と2015の最小公倍数の倍数が答えになります.いま問われている数は,これに「あまり」というオマケがついているだけです.どうも,この最小公倍数の近辺に候補がありそうだということがわかると思います.
オマケ2:mとnの係数について
そして,2014と2015ですが,これらは互いに素な数になっています.もう少し大きく言えば,「連続した2つの自然数は互いに素である」ことが言えます.このことについて,少し突っ込んでおきます.
まず,連続した2つの自然数*1があれば,必ず奇数と偶数の組になっています.つまり,「2」が共通の約数に含まれることはありません.というよりも,「差(間隔)」が1しか空いていない2つの数ですから,それより大きな間隔を共通に持つことはありえません.以降,「3」「5」「7」…という間隔が入る余地もなく,共通の因数を持たないことがわかります.
同様に,連続した2つの奇数(例:「3と5」や「11と13」)も互いに素であることが言えます.不定方程式でmやnの係数として,よく現れる数です.
一般解を求める
さて,一般解を求める話に戻りましょう.一般解を求めるためには,「特殊解(特解)」を求める必要があります.これが一つの山であり、数学のセンスが試されるところです.このとき,mやnは正の数でなくても構いません.とりあえず1組の整数解を求めればよいのです.
いまの問題では、特殊解は比較的簡単に求まります.係数が1つ違いであり,左辺・右辺の定数項も1つ違いであることに注目していくと,m=n=-1が特殊解として与えられることがわかります.つまり,
2014・(-1)+10=2015・(-1)+11 …(2式)
ということです.そして,(1式)と(2式)を辺々差し引くと,定数項が消えて
2014(m+1)=2015(n+1) …(3式)
というかけ算だけの式になります.定数項を消し去るために,特殊解を求めていたことになります.ここまでくれば,下り坂を転がるがごとく,解けていくと思います.
上のオマケ2で述べたように,2014と2015は互いに素ですから,整数:kを用いて,
m+1=2015kより m=2015k-1
と表され,これを(3式)に代入して,n=2014k-1と表されることもわかります.すると,題意を満たす整数:N[k]はkを用いて
N[k]=2014(2015k-1)+10=2014・2015k-2004
となります.これが一般解になります.オマケ1で述べたように,2014と2015の最小公倍数の近辺が解になっていますね.*2
最小の自然数を計算する
m=n=-1はk=0のときですから,kが1以上のときN[k]は自然数となります.そして,その最小値はN[1]です.そのN[1]の求め方ですが,
N[1]
=2014・2015-2004
=(2015-1)・2015-2004
=(2000+15)^2-2015-2004
=2000^2+2・2000・15+15^2-4000-19
=4000000+60000+225-4000-19
=4000000+56000+206
=4056206
と求められます.とても,「最小の」と言えるような数でもないですが,これが答えです.