みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

2015年センター試験物理は,いい問題

遅ればせながら,物理も解いてみました.なかなかいい問題ですね.公式や考え方をていねいに記して導いてくれるかと思えば,思わぬトラップが仕掛けられている.ゆえに,きちんと問うべきところは問うているが,しっかりとした物理的思考がないと満点は取らさんぞ.そんな意図が現れている問題だと感じました.

 

回答群からの選択は,まず絞り込めるところはしっかり絞り込んでしまう.これが大事だと思います.

 

第1問

素直な問題が並んでいますね.

問3:計算するよりも,選択肢を見た方が早いですね.ここは次元解析が使えてしまうところです.次元でなくとも,単位で考えれば,

  • 運動方程式(ma=F)から,力の単位はkg・m/s^2となり,
  • 振幅:Aは長さ(m),角振動数:ωは時間の逆数(1/s)である.

というところを組み合わせればmAω^2という答えにたどりつきます.

 

第2問A

ダイオードつながりでのノーベル賞記念問題でしょうか?ダイオードは「一方向にしか電流を流さない素子」であることを理解していれば,難しくありません.この時点で問1の選択肢は,(3)か(5)に絞り込まれます.

問2は,一度やっておかないと厳しいですね.「1/√2になる」実効電流と実効電圧を用いるのですが,ダイオードの効果で時間平均がさらに半分になるというトラップがあります.

 

第2問B

典型的なサイクロトロンの問題です.問3は言わずもがな.問4も,速さ:vの選択肢は(1)~(3)になるので,あとは(向心力)=(ローレンツ力)の式を立てるだけです.

 

第3問A

屈折の法則を図まで示して,やたら丁寧に誘導してくれています.逆に,気持ち悪いくらいです(笑).

 

第3問B

こちらも「逆位相」と書いてくれているので,簡単ですね.ただ,そのまま調子に乗っていると,問4で仕切り板がdだけ動いたときに,行路差は倍(2d)になっているところで打ち取られます.

 

第4問A

問3は,点Pで跳ね返った直後の水平方向の速さがe・v0になるので,点Qでの速さがピタゴラスの定理から

 v^2=(e・v0)^2+(g・t2)^2

と与えられることがわかれば,すんなり片付きます.

 

第4問B

ばねの「伸び」と「縮み」をきちんと求められていれば.という問題です.あくまでも自然長はLだということを言い聞かせてください.

 

第5問

PV図を出すのぉ?という印象ですね.でも,これも素直です.問1は「読んで字のごとく」ですし,問2は「気体が外部からされる仕事(or 外部にする仕事)は,PV図の面積として与えられる」ことを理解していれば,即答です.

問3は,等温変化はオになるので選択肢は(2),(4),(8)に絞り込まれ,定圧変化に関する状態方程式(シャルルの法則,ボイルかシャルルかあいまいだったら,ボイル・シャルルで導けばよい)から,さらに絞り込まれます.

 

第6問

前期量子論までの歴史をさくっとたぐる問題です.ラザフォード散乱は,(2)か(3)かで迷うところですが,原子核に近い軌道の方が強い斥力を受けることを考えれば(3)になります.

問2は,教科書に書いてあるままではないかと思います.問3もですね.

 

第5問を選ぶか,第6問を選ぶかは,正直どちらでもという感じです.平均点も昨年並みということなので,そんなに変な問題ではなかったということですね.それぞれの問題にもうちょっと毛を生やせば,2次試験レベルになりそうな問題なので,苦手分野の問題はもう一度見直ししてもいい内容だと思います.