昨年は,数IIBの難しさがニュースになるぐらいでしたが,今年はどうだったんでしょうか?また,一通り解いてみました.先に,数IIBも含めた全体的な印象を書いてしまうと,
思考力より,計算力と知識力を問うた?
というところです.知識力というよりは,暗記力なのかもしれませんが.
数学IA
第1問
[1]
文字定数を含む1次関数の問題ですね.(2)のところで,場合分けして求めた結果を「まとめる」ところが穴になるかもしれませんね.
[2]
集合と命題の問題.(1)の記号を問うなんて,ちょっと意外な感じでした.(2)については,和と積では「0」の扱いが変わってくることがポイントですね.
[3]
それぞれの解を数直線上にでもプロットすればたやすいですね.
第2問
[1]
冒頭は,円周角から中心角に話を持って来れば瞬殺です.(1)は余弦定理,(2)は三角形PABが二等辺三角形すなわち正三角形となるとき,(3)は角PBAが直角となるときになります.
[2][3]
統計の問題が今回はやさしかったように思います.計算というよりは,グラフの読み取り力ですね.ただ最後で,期待値と分散の性質が計算問題として出てきます.これは,数IIBの前フリになっている感じもありますが.
第3問
条件付き確率が,そのまま問題文中にも登場しましたね.センター試験が終わってから,このネタをちょろっと書こうかなと思ってたので少し悔やんでます(苦笑).条件によって分母がどうなるのかがポイントになります.
第4問
ここが曲者でした.この問題を選択すると,時間が足りなかったかもしれません.
(1)昨年も不定方程式は出ていたのですが,今年は冒頭から「不定方程式」と明言されてしまいました.ここは少し丁寧に書いておくと,
92x+197y=1
- まずこの式の解の候補としては,「yは奇数」であることがわかります.もし偶数なら左辺が偶数となってしまうからです.
- 次に,どちらかが負の数でなければなりません.解答欄を見ると,xもyも「2ケタ」になっています.ただし,一方が負になることを考え(ケタの先頭が「-」になる),yの係数の方が大きいことも考慮すると,こちらが負になると推測できます.すると,y= -1, -3, -5, -7, -9が候補となります.あとは,これに合うようにxの値を照らし合わせていくことになります.
結果,
92・15+197・(-7)=1…(式1)
と与えられます.
続いて,
92x+197y=10
ですが,先と同様に求めようとするとはまってしまいます.ここは(式1)の両辺を10倍して,
92・150+197・(-70)=10
としてから,辺々差し引くことで右辺の定数項が消えます.定数項を消すことが不定方程式の解(一般解)を求める定石です.
miwotukusi.hatenablog.jp
(2)みんな嫌いなp進法です(笑).
11011(2)を変換する問題ですが,「1」「10」「11」と2ケタずつまとめて,それぞれを4進法に変換するだけで答えが出てしまいます.プログラミングなどで2進表記を16進表記(HEX表記)に変換することを知っている人なら,たやすかったと思います.
そして,まさか小数が出るとはという感じですね.たとえば,0.043(6)であれば,
のように「」というケタとしてとらえることがポイントです.
miwotukusi.hatenablog.jp
第5問
円周角,角の二等分線の性質,メネラウスの定理,チェバの定理で(1)まで進めます.(2)はイメージするのが難しかったのではないでしょうか?調べ上げようとして,鋭角三角形と鈍角三角形で場合分けだとか,いろいろ考えさせられてしまいそうです.しかし,正弦定理より
とみてあげることで,辺ABが直径となるときだと気づけば,あとは都合のよい図形(等脚台形)になっているのですんなり求められます.
時間のことを考えると,数字に強いのであれば第4問を選択,計算間違いのリスクを避けるのであれば第5問を選択というところでしょうか?
数IIBは,次回に.