みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

2015年度京都大学の特色入試数学からつらつらと~その1~

※2017/11/23 タイトルを変更しました.

この時期はどうしても仕事がバタつくので,何かネタを書きたくても書けないことが多くなります.というところで,ほんとにいまさらなのですが,昨年11月におこなわれた京都大学特色入試の問題を見て感じたことをつらつらと書いてみます.

この入試,大手予備校さんには載ってないんですよね.やはり「レベルが違う」扱いってことなのでしょうか?ただ実際に問題を見てみると,チョ~難しい!!ってレベルでもないように感じました.
東京大学 総合科目IIのような長文ではなく,京大のいつもの2次試験のごとく,シンプルな問題文になっていること.
・問われている内容自体も,極端に飛び抜けている内容ばかりではないこと.

ただ,わたしみたいな凡人にとっては,「のどのここまで出ているのに,うまく表現(解答)できない」という感じになります(苦笑).

あと,全体的に見て思ったのは,「平面内での話ばかりどすなぁ.(京都弁調)」ということです.昨年の東大 総合科目IIで出たような空間のひねった問題はなかったということです.この点も,問題の意味を捉えやすかった一つのポイントだと思っています.

以下では,「ここは,こんな風に言い換えられるよね」「こういう考え方もできるよね」ということを記していきます.ある意味,「のどのここまで」出てきている内容だということになります.そういう考えは,通常の2次試験にも応用できるところがあるかと思います.参考にしてもらえると幸いです.*1

一応,それぞれの問題文も記しておきます.


第1問 円周上の等分点を結んでできる三角形の面積を確率変数とした期待値

円周を  n等分して,それらを結んでできる三角形の面積を考えています.選んだ等分点が重複すると,面積が 0になるので期待値には寄与しない=考えなくて良いことになります.
まずは,円周上に 3点を取り,それらを結んで三角形を描いてみて下さい.そして,その三角形の面積を考えるときには,

  • ヘロンの公式を使うのか(中心角の大きさから 3辺の長さはわかる)
  • 円の中心と各頂点を結んで3つの三角形の和として考えるのか

といったことが頭をよぎるかと思います.ただ,ヘロンの公式は面倒そうなのはすぐに検討がつくのでナシになります.*2
上で「三角形を描いてみて下さい」と書きましたが,どんな三角形を描きましたか?たいていの人は,円の中心が三角形の内部に含まれたもの(鋭角三角形)を描いたと思います.ただ,円の中心が三角形の内部の含まれないものもあります.そのような場合分けがあることを思いつけるかは,大事なところです.

たとえば,以下のような問題を考えてみてください.
【小問】円周を  n等分する点から異なる 3つの点を選ぶとき,それらを結んでできる三角形が鋭角三角形となる確率を求めよ.ただし, n自然数とする.


第2問 積分不等式

この問題が,4問の中で一番やさしかったのではないでしょうか?
(1)右辺に出てくる「3」って係数はどこから出てきたの?ということにとらわれ過ぎてはいけません.とりあえず, 0 \leqq x \leqq 1区間で「右上がり」のグラフを描くことを考えます.そのとき,x軸との位置関係がどうなるかで場合分けになります(x軸よりも上なのか,x軸と交わるのか,x軸よりも下なのか).すると,実質的に不等式が成り立つことを考えなければならないのは,x軸と交わるときになります.あとは,それぞれの項が記している部分がどのような「面積」として与えられるかを考えていきます.
(2)おそらく,狭義単調「減少」関数でも同じことが成り立つ.と考えれば,単調でない増加や減少をするような関数を考えればよいことになります.まあ,何かしらの周期関数を考えればいいことになるわけです.


やはりというか,後半に濃い目の問題をもってきているようです.その濃い目の2問については次回に.

*1:たいてい,こう書くときはわたしの備忘録として書いているということでもあります

*2:根号の総和なんて,求められるかい!ってことです