※texをいっぱい張り付けたので,少し表示が重いかもしれません.
以前に,熱気球の話から大気の物理へ続くネタを書きました*1が,その第3弾です.いまさら書くには理由があるのです.
それは,以下の大気の気温減率を扱った2問です.
時期的には,物理チャレンジの方が先でした.そして,内容が設問の並びも含めて同じです(笑)
おしながき
以下では,考え方のポイントとなるところを中心に書いていきます.大気の物理~その1~で湿った空気の扱いがいい加減*2だったので,その修正でもあります.
設問の並びが同じと書きましたが,その並びとは大きくは「乾いた空気の場合」→「湿った空気の場合」というものになっています.問題で使っている「武器」は
- 静水圧平衡
- マイヤーの関係式
- 熱力学第1法則
- ドルトンの分圧の法則
- クラウジウス・クラペイロンの関係式(阪大の問題)
といろいろあります.この中でも重要なのは,熱力学第1法則です.
静水圧平衡
※2016/04/11:少し丁寧な内容に変えました.
ここは力のつり合いなので,特に式の形が変わるわけではありません.断面積:の筒を考えて,
ここへ,を用いて
マイヤーの関係式
単純に,と表しておきます.
熱力学第1法則:
まず先に,「乾いた空気の場合」「湿った空気の場合」を並べて書いておきます.
乾いた空気:
湿った空気:
違いは熱量の項だけですが,湿った空気においては状態変化(微小変化)の際に「凝縮熱」が放出されるため,その熱を取り扱うのに熱力学第1法則を使う必要があるわけです.では,乾いた空気の式に意味がないのかというと,そんなことはなくて,の項を少し書き換えて
マイヤーの関係式を適用すると,ポアソンの式が導かれます.
以前にも書きましたが,空気の塊としては(塊の外部とのやり取りとしては)断熱的ですが,内部で自発的に生じてくる熱量はそのまま空気の塊に取り込むと考えます.そうでないと,外部とのやり取りができてしまうからです.
*1:過去のネタについては,カテゴリ:Phys-Thmからたどって下さい.
*2:大気の物理~その1~の「乾いていれば1度下がる」の部分