みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

「2017年京大理系数学第3問」のメモ~今年もまた〇と〇?~

2次試験はじまりました.なんとなくですが,計算力で勝負する問題が増えてきている気がしています.
やはり,課程が変わっているからなのでしょうか?

問題

p, \ q自然数 \alpha, \ \beta
  \displaystyle{ \tan{\alpha} = \frac{1}{p}, \ \tan{\beta} = \frac{1}{q} }

を満たす実数とする.このとき
  \tan{(\alpha + 2\beta)} = 2

を満たす p, \ qの組  (p, \ q)をすべて求めよ.


tanの加法定理が出てきますが,これは sinと cosの加法定理をそのまま割り算してしまえば導けます.
なので,わたしは tanの加法定理は覚えていません.
  \displaystyle{ \tan{(A+B)} = \frac{\sin{(A+B)}}{\cos{(A+B)}} = \frac{\sin{A}\cos{B}+\cos{A}\sin{B}}{\cos{A}\cos{B}-\sin{A}\sin{B}} = \frac{\tan{A}+\tan{B}}{1-\tan{A}\tan{B}} }

\tan{2\beta}も加法定理を用いて計算し,ごにょごにょすると条件の式は
  \displaystyle{ \frac{ \displaystyle{\frac{1}{p} + \frac{2q}{q^2-1}} }{ \displaystyle{1 - \frac{1}{p} \cdot \frac{2q}{q^2-1}} } = 2 }

分母を払って整理すると,
  2pq^2 - q^2 -2pq - 2p - 4q + 1 = 0

となります.これを

  • q2次方程式ととらえるか
  • 単純に pの 1次式ととらえるか

が運命のわけれ道なのかもしれません.ここでは後者を選択してみます.
  \displaystyle{ p = \frac{q^2+4q-1}{2(q^2-q-1)} }

 p自然数ですから,分子は分母で割り切れなければなりません.とすると,分子が 2で割り切れるために  qは奇数であることがわかります.そこで, q = 2Q-1( Q自然数)として改めて代入すると,
  \displaystyle{ p = \frac{2Q^2+2Q-2}{4Q^2-6Q+1} }

となります.そして, pは 1以上であるので,
  \displaystyle{ \frac{2Q^2+2Q-2}{4Q^2-6Q+1} \geqq 1 }

2次不等式を解くと,これを満たす自然数 Q 2 \leqq Q \leqq 3と求まります.*1
そして,それぞれの場合に対して  p, \ qを求めると,ともに自然数となるものは  (p, \ q) = (2, \ 3)と求まります.


「ごにょごにょ」が多いので,もっとスッキリとした解答があるのかもしれません.
「すべて求めよ」の振りで,答えが  p=2q=3去年の素数の問題の答えもこれでしたね.たまたま…でしょうか?(笑)

2017/03/01 追記

上では 2次不等式の解として q=1は不適としましたが,そもそも \tan{2 \beta}が存在する否かで適さないことが示せましたね.q自然数なので.\tan{\beta} \leqq 1であり,q=1のときには \pi/2 < \alpha + 2 \beta < \piより \tan{(\alpha + 2 \beta)} < 0となってしまいます.

*1:2017/2/26追記:分母を払うとき,不等号の向きに注意する必要がありました.Q=1のときのみ分母が負になってしまいますが,単純に代入すれば不等式自体が成立しないとなって除外されます.