理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

「蚊取り線香の中間地点」の補足(次元解析的な)

元ネタを見返していて,気になったことがあったので補足を記しておきます.元ネタに追記してもよかったのですが,ちょっと大事なポイントもあるので別にしておきます.
元ネタは,ココです.
蚊取り線香のうず巻き~その1~ - 理系男子の独り善がり
蚊取り線香のうず巻き~その2~ - 理系男子の独り善がり

簡単におさらい

蚊取り線香のうず巻きは,アルキメデスの螺旋で表すことができるというところから,その中心からの長さを
  \displaystyle{ L(\varphi) = \int_{0}^{\varphi} \sqrt{1+\theta^2} d\theta }

として与え,この積分を計算し、さらに  \varphi \gg 1での近似も考えて,
  \begin{align} L(\varphi) &= \frac{1}{2} \varphi \sqrt{1+\varphi^2} + \frac{1}{2} \log{\left( \varphi+\sqrt{1+\varphi^2} \right)}  \\
&\simeq \frac{1}{2}\varphi^2  \end{align}

と導きました.結果,うず巻きの長さは回った角度の 2乗に比例するという近似式に至っています.

次元解析的に見ると

実はこのシリーズの冒頭で,アルキメデスの螺旋は一般に
  r = a\theta

で表されると書いています.ただ,すぐに  a=1とした上で計算を進めています.もし,この  aを残したままにするとどうなるかを考えてみると,
  r = a \theta \Rightarrow \begin{cases} x = a \theta \cos{\theta} \\ y = a \theta \sin{\theta} \end{cases}

と全体が  a倍されるだけで,結果も以下のようになります.
  \begin{align} L(\varphi) &= a \int_0^{\varphi} \sqrt{1+\theta^2} d\theta \\
&= a \left( \frac{1}{2} \varphi \sqrt{1+\varphi^2} + \frac{1}{2} \log{\left( \varphi+\sqrt{1+\varphi^2} \right) } \right)  \\
&\simeq a \cdot \frac{1}{2}\varphi^2  \end{align}

次元解析のネタでも記しているように,角度である  \varphiは無次元の量であり,それだけでは長さを表すことはできません.きちんと,次元がわかるようにしようと思えば,いまのように  aを残しておく必要があるわけです.ちなみに, aは中心から 1周したときの中心からの距離( = 2 \pi a)として与えられますし,うず巻きの間隔(これも  2 \pi a)としても与えられます*1

物理ではまれにですが,次元や量的な関係をわかりやすくするために,わざといまのような比例定数を残したまま計算をして,最後に 1にするということをやったりします.式の評価の一手法ともいえると思います.

逆に,最初から  a=1としたのも理由があります.それは, aは単なる「倍率」であり,いま求めたい量(=うず巻きの長さと)も同じ長さという次元なので無視しても構わない.という根拠からです.「相似」ということですね.
もしこれが体積を考えるような場合には,無視しない方がいいです.とは言え,いまの問題では体積も長さに一定の断面積をかけるだけになるので,無視してもいいのですが.
過去に記していたヘリコプターの問題なんかは,長さ→仕事率という異なった次元量への影響を考えていた問題の例になります.

*1:逆に,うず巻きの間隔を  aとしたければ, \displaystyle{ r = \frac{a}{2 \pi} \theta }とすればよい.