みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

「理系」でよかったこと(個人の感想であり,これを保証するものでは...)

このブログをはじめてもうすぐ丸4年になります.おかげさまで,10万アクセス*1に達しました.特にアフェリエイトとかしてるわけでもなく,宣伝力のあるブログでもないのでありがたいことです.そして,毎度毎度つたない文章にお付き合いいただきありがとうございます.

今回は,理系人間として数学と物理を学んで「考え方」や「イメージの持ち方」として得たものを書いてみようと思います.案外,仕事で役に立っているので,そのあたりを書いていきます.大きく分けて前編は数学(高校まで),後編は物理(大学から)という内容になります.

数学から得たもの

いまは IT系の技術職をしていますが,やはり数学はストレートに使うことが多いと思います.2進法や 16進法,三角比(ピタゴラスの定理)も使ったりしてます.「考え方」として役に立っているのは,次のようなものです.

  • 問題を整理すること
  • 図式化すること
問題を整理すること

いきなりですが,例題を一つ挙げてみます.

例題
「ある男」について書かれた文章です.
 一生の 6分の 1は少年で,12分の1ののち髭が伸び,
 7分の 1経ってから結婚した.
 5年経って息子が生まれたが,息子は彼の半分しか生きられず,
 息子が死んで 4年経ち,彼はその一生を終えました.

さて,彼は何歳まで生きましたか?

Eテレ 2355にも登場した「ディオファントスの一生」という話です.問題を整理するとは,もう少し言葉を補うと,
 問題を分解して整理すること

という意味です.
いまの例題では,単純に,
 一生の長さを  n年という整数であると置いて,文章の前から順番に式へ置き換えていけばいいです.

ということですが,何気に書いている「整数である」というところもポイントです.文章の裏に隠れている条件もあぶり出しつつ整理していくというところもポイントです.これを仕事に当てはめると,「そもそも,これは何のため?」といった問題の本質に立ち返るためのヒントになったりします.仕事本みたいな表現をすると,「隠れた前提を見つける」みたいな感じでしょうか?(笑)
分解というと大変そうですが,単純に箇条書きにするという理解でもいいと思います.

図式化すること

予備校講師の林修先生は,数学のいいところとして「モデル化」ということを挙げられていました.通常,モデル化は事象を数式(方程式)に表すことを指しますが,わたしの中では数式にしなくとも「図式化」すなわち「絵に表すこと」で,起きているできごとや問題の関係性を把握することができるようになります.話のつながりをつかむという言い方もできると思います.
この図式化は,あとの物理の話でもでてきますので,そのときにもう少し詳しく触れることにします.

物理から得たもの

(高校までの)数学と物理の違いは,「時間」だと思います.やはり,物理は運動を扱う学問なので,時間がついてまわります.*2この違いから,数学とは少し違った考え方を得たと思っています.

影響度の大小

これは「式の評価」で書いていた内容になります.
miwotukusi.hatenablog.jp

あまり考える必要のないポイントもあれば,見過ごすわけにはいかないポイントもあるわけで,それを相対的に考えることとこの評価ということが案外似ているなあと最近感じています.

大きさをつかむ感覚としては,フェルミ推定のような「ざっくり見積」も物理から得たものかなと思ってます.
miwotukusi.hatenablog.jp

因果関係

「原因があって,結果がある」決して,その逆はない.これを因果関係とか,因果律といいます.物理を考える上での大原則であり,仕事の上でも何か問題が起きるときには必ず原因があるはずだと考えるようになりました.これは,時間ありきの考え方だと思います.

状態遷移

上で書いた「時間」と「因果関係」を足したような内容になります.
 「状態」というものは時間とともに変化するものであり,
 また変化するには必ず原因がある.
 また,その原因の内容によって,状態の変化はいろいろなパターンをとる.

ということです.原因と結果の連なりであって,原因によって結果は選択肢になっている.ということです.

高校数学だと,確率漸化式のような問題がわかりやすいかもしれません.
 n-1回目の取りうる状態と確率から  n回目の取りうる状態と確率の関係を見つけて,漸化式の形にする.

何回も繰り返していく様子は,時間が経つことと同じようなイメージです.*3
量子力学はある意味確率漸化式を解く(そして,期待値を求める)という学問であり,これを勉強してから状態遷移というイメージを持つことが多くなったと思います.

文章の書き方

物理を勉強してというわけでもないのですが,文章の書き方が変わりました.たぶん,論文や学術書を読んでいて意識するようになったのだと思います.
簡潔に説明するために,一つの文章は短く(句点は 2つぐらいまで),複数の選択肢をとるときには箇条書きにする.といったことを意識しています.
むかしなら
 「Aであり,Bであり,かつ Cでもあるので,Xが成り立ちます.」

と書いていたところを
 Xが成り立つのは,以下の理由によります.
  ・Aである
  ・Bである
  ・Cである

と書くようにしています.話言葉っぽくしたいときは,逆に箇条書きにせず,ダラーっと書くときもあります.


問題を分解して,それらの因果関係をつながりとして頭の中で図にしている.「相関図」や「フローチャート」のようなイメージを結構頭の中でしていることが多いと思います.


数学と物理,どっちも嫌われやすい学問ではありますが,ちょっとでも身近に感じてもらって,「ピーン!」とくるような発見や気づきをしてもらえたら嬉しいです.
と思いつつ,これからもネタ探しをしていこうと思います.

*1:はてなブログの管理画面上のアクセス数

*2:数学でもパラメーター(媒介変数)が時間のような役割をしますが,時間が嫌でも一方向に流れてしまうのに対し,パラメーターは戻ることもできるので違うものととらえています.

*3:こういうのは「離散時間」という場合もありますね.