今回は,ほとんど小学生の算数のような話をしていきます.移動をしながらキャッチボールをするという設定です.
PさんとQさんの 2人が登場します.Pさんはボールを投げる人,Qさんはボールを受ける人になります.
Pさんは以下の能力と条件を満たしてもらいます.(ちょっと無理がありますが)
- ボールを水平方向の速さ:で投げることができるものとします.また,この速さは空気抵抗などで減速することはない(Qさんまで,速さ:のままで飛んでいく)ものとします.
- Pさんは,ボールを 2つ持っており,それらを時間間隔:で投げます.
Pさんが移動するケース,Qさんが移動するケースの 2ケースについて考えていきます.
ケース1:近づきながらボールを投げていく
Pさんが Qさんに速さ:で近づきながら,2つのボールを投げます.下図では,一定の速さで動く台車に乗って移動しているとしています.Qさんは動きません.
このとき,Qさんが 2つのボールを受け取る時間間隔:がどうなるかを考えます.
速さ:で動く台車の上から,速さ:でボールを投げるので,投げられたボールの対地速度の大きさは となります.あとは,図に描かれている地点の距離を考えていくだけです.
- 1つ目のボールを投げた時刻を とします.Qさんがこのボールを時刻:で受けたとすると,となります.
- 2つ目のボールは,時間:の後,すなわち時刻:に投げられます.ここまで,Pさんは だけ移動しています.
- Qさんが2つ目のボールを受けた時刻を とすれば,となります.
3点の距離の関係:に上記 1~3を代入すると,
ですから,となります.近づきながら投げてくるのですから,当然ですよね.
ケース2:走りながらボールを受ける
今度は,Qさんが動きます.速さ:で Pさんから遠ざかる方向(=ボールが飛ぶ方向)に移動しながら,ボールを受けます.Pさんは動きません.
ケース1同様,Qさんがボールを受け取る時間間隔がどうなるかを考えます.
ケース1と同じように距離を考えて,
- (2つ目のボールは,に投げ出され,で受け取られる)
に代入して,
今度は,となります.
移動していることで,PさんとQさんの時間間隔が変わり,それが速さに依存していることを見てみました.移動していると時間が変わるというと,特殊相対性理論でも出てくる話ですが,それとは違う話です.
図をきちんと描いて,1つ目のボールと 2つ目のボールがそれぞれ飛んでいた時刻(時間)が正しく認識できれば,(距離)=(速さ)×(時間)の計算をしているだけなので内容は難しくないと思います.
1つ目のボールを投げたとき,運動量保存則を考えるのであれば,Pさんの移動速度の大きさ(=台車の移動速度の大きさ)は変わるはずですし,そういう問題を考えることもできると思います.ここでは,次回のネタのこともあるので無視しました.
次回はこの話を踏まえて,ある物理現象について話をします.勘のいいひとは気づいていると思いますが,微妙に形が違っているのでそのあたりにも触れていきながら説明をしていこうと思います..