理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

3月4日はバウムクーヘンの日なので,積分します(?)

今日はバウムクーヘンの日だそうです.ユーハイムさんが日本ではじめてバウムクーヘンを焼いた日がちょうど100年前の今日だそうです.はじめての地が広島だったとはちょっと意外でした.
日本上陸100周年 | ユーハイム

で,それにちなんで(?)「バウムクーヘン積分」の話をしておきます.以前,料理のコーナーの注釈で触れている程度でした.
miwotukusi.hatenablog.jp

回転体の体積を求めるときに使うものです.
通常使う回転体の体積の求め方は,ちょっとおさらいしておくと,

  1. 回転軸に対して垂直な面で「輪切り」にして,
  2. 輪切りの厚さを微小( dx)とすることで,輪切りの表面と裏面の面積が等しい円筒形であるとみなして,
  3. 積分して足し合わせる.

こんな感じでした.

バウムクーヘン積分は,文字どおりバウムクーヘンのように年輪のように,回転軸から外に向かって薄い円筒を重ねていったイメージで体積を求めるものです.ちなみに,バウムクーヘンはドイツ語で木のお菓子(baumは木,kuchenはケーキのこと)という意味で,見た目が年輪のようになっているところから呼ばれています.

具体例を使って計算方法を記します.

円錐の体積をバウムクーヘン積分で求める.

図のように,底面が半径: Rの円,高さ: hの円錐があります.この体積をバウムクーヘン積分で求めます.

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円錐の体積を求める

  • 回転軸から  xだけ離れたところにある「円筒」の高さは, \displaystyle{ \left( 1 - \frac{x}{R} \right) h }となります.
  • この円筒の側面積は, \displaystyle{ 2 \pi x \cdot \left( 1 - \frac{x}{R} \right) h }となります.
  • これに微小な厚み: dxをかけて足し合わせれば(積分をすれば),

  \begin{align} \int_0^R 2 \pi x \cdot \left( 1 - \frac{x}{R} \right) h \, dx &= 2 \pi h \int_0^R x \left( 1 - \frac{x}{R} \right) \, dx \\ &= 2 \pi h \left[ \frac{x^2}{2} - \frac{x^3}{3R} \right]_0^R \\ &= \frac{1}{3} \pi R^2 h\end{align}

と公式どおりの式が求められました.


で,この計算,今年しれーっと出てるところがありました.

2019年京大物理第2問(2)

この図が出てくる問題です.

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2019年京大物理第2問の図2

この円内を通る磁束(磁束密度を足し合わせた量)を求めている式として,問題文中に以下のように記されています.
  \displaystyle{ \Phi_R = \frac{1}{3} \pi R^2 B_0 }

円錐の高さが  B_0と変わっているだけです.
で,この式を用いて半径: a \, ( \leqq R)の内側にある磁束を求めなさいという問いがあります.単に,バウムクーヘン積分範囲が  0 \leqq x \leqq aとなるだけなので,
  \begin{align} \Phi_a &= 2 \pi B_0 \int_0^a x \left( 1 - \frac{x}{R} \right) \, dx \\ &= 2 \pi B_0 \left[ \frac{x^2}{2} - \frac{x^3}{3R} \right]_0^a \\ &=  \pi B_0 a^2 \left( 1 - \frac{2a}{3R} \right) \end{align}

と求められます.
また,下の図のように半径: aの部分が赤い線で描いたように「2階建て」になっているとみてあげると,上は先に与えられている式から*1,下は単なる円柱の体積と考えて計算することもできます.

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2019年京大物理第2問の図2に対するひとつの考え方


また京大さんの物理の問題は取り上げたいと思っていますが,今年はなんか計算量が多そうです.解いた後は,バウムクーヘンで糖分補給したいぐらいな感じです.

*1:高さが  \displaystyle{ B_0 \rightarrow B_0 - \left( 1 - \frac{a}{R} \right) B_0 = \frac{a}{R} B_0 },底面の半径が  R \rightarrow aと変わったとすればよい.