みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

「小学校6年生の算数」とはいっても・・・その3

高校数学では「整数問題」として扱われます。このジャンルは、教科書にもあまり触れられていないというよりも、触れられない語れないところで、ある意味一番センスを試されるところかとも思います。もとの問題文はもう書きませんが、高校数学っぽく書き直すと

「2つの整数 x, yについて、0≦ x≦ 64、0≦ y≦ 36、3x+ 5y=187を満たす (x, y)の組はいくつかあるか求めよ。」

 

不定方程式

もう 1つ x, yに関する条件式があれば、連立方程式として決まった解が求められます。しかし、いまは条件が 1つだけ(未知数が 2つに対して)なので、解が複数存在します。このような方程式は不定方程式と呼ばれます。これを xy平面上でグラフを用いて考えるときには、格子点の問題と呼ばれたりします。

このような不定方程式の解き方は、「特殊解を一つ見つけ出すこと」です。

 

解き方

 3x+ 5y=187 ・・・(1式)

とりあえず、何か 1つ不定方程式を満たす具体的な組を見つけ出します。たとえば、その2の内容から、(x, y)=(59, 2)が満たすことがわかります。

 3× 59+ 5× 2=187 ・・・(2式)

(1式)- (2式)と辺々差し引くと、右辺の定数項が消えます。

 3(x- 59)+ 5(y- 2)=0

 3(x- 59)=5(2- y)

3と 5は互いに素ですから、x- 59は 5の倍数でなければなりません。つまり、x- 59=5kと表されるということです。これをもとの式に代入して、

 (x, y)=(5k+ 59, 2- 3k)

を満たす kが何通りの値をとることができるかを考えます。これは、x, yが取りうる値の範囲から絞り込まれます。

 0≦ 5k+ 59≦ 64

 -59/5≦ k≦ 1

kは -11から 1までの値をとることができるとなりますが、k=1(x=64)はもとの式を満たさないので除外されます。結果、-11から 0までの 12通りをとることが求まります。(yについても、同様の確認が必要です。)

 

解が必ずあるとは限らない?

もとの問題では「その景品の点数ぴったりで交換することができる3点と5点のコインの枚数の組み合わせ方は何通りですか。」とありますが、そのような組合せがないということも考えられます。ところが、そのようなことは起こりません。それを次回に示します。