みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

群れをなす数たち(群数列)

※2016/09/28 一部の式だけですが,全体に影響しない範囲で,TeXに書き換えました.

もうすぐ 2013年も終わりますね。

2013ぐらいの数は、整数問題や数列の問題でも使われやすいですね。センタ試験の定番でもある群数列について、わたしなりのコツなどを書いてみたいと思います。

 

例題(2010年センタ試験抜粋)

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2つの数列

群数列には 2つの数列があります。単に「規則性」を追うだけでなく、どういう規則なのかを式でおさえることが重要です。その 2つとは以下のものです。

  • 群にわける前に並べられてる「もとの数列」
  • 群に含まれている要素の数に対する「個数の数列」

 

もとの数列:\{ C_n \}は、全体の第  n番目が何であるかを表します。いまの例題では、C_n=nと単純なものになっています。

個数の数列:\{ D_k \}も例題では簡単なものになっており、問題文にもきちんと書かれています。第k群について、D_k=3k-2となります。

 

7丁目15番地はだれ?

群数列では、「第  p群の第  q番目」という表現が出てきます。例題であれば、第3群の第5番目は10となります。 p qを用いて  Nを表すことができれば、その数が何であるかを示すことができるわけです。

見出しの「7丁目15番地」とは「第7群の第15番目」の言い換えだと思ってください。この数が「だれ(いくつ)?」なのかを考えます。

その数が属している群(第7群)の先頭がわかれば、規則性に従って15番目は求められるわけです。さらに、第7群の先頭=第6群の最後の次ですから、第6群までにいくつの項が現れているかと勘定します。この程度であれば、簡単に求められますね。

第1群に1つ、第2群に4つ、第3群に7つ、第4群に10、第5群に13、第6群に16あるわけですから、1+4+7+10+13+16=51個あります。

よって、第7群の先頭は全体の52番目、第7群の第15番目は全体の52+15-1(または、51+15)=66番目ということになります。「だれ」もそのまま66ということになります。

 

ポイントは先頭 or 末尾

上の「だれ」では、群の先頭または末尾がポイントになってきます。

例題でも「第  n群の最後の項」が a_nとして与えられています。第  n群の最後とは、第  n群の  3n-2番目の項ということです。全体の何番目であるかは、1+4+8+・・・+(3n-2)の和(Σ)として与えられます。

  \displaystyle{ \sum_{k=1}^n (3k-2) = 3 \cdot \frac{1}{2} n(n+1) - 2n = \underline{ \frac{3}{2} n^2 - \frac{1}{2} n } }

このままでは少し気持ち悪いかもしれませんが、 \displaystyle{ \frac{1}{2} n(3n-1) }と書き下すと nと 3n-1のどちらかが必ず偶数になるので全体の値も自然数として与えられます(分数にはならない)。

 

この人は何丁目何番地?

この文章の最後にある問い「600は第何群の第何番目」が理解できれば、群数列はほぼ完成です。見出しは住所のように書いていますが、住所のようにまずは「第何群(何丁目)にお住まいなのか」を調べていきます。先に出てきた数列: \{ a_n \}はその手がかりを与えてくれます。

600は第  p群に属する(600さんは  p丁目の住人)と仮定すれば、

  • 600さんは  p-1丁目の末尾よりは大きく(または  p丁目の先頭以上)、
  •  p丁目の末尾以下である。

となります。これを不等式として表します。

  \displaystyle{ \frac{3}{2} (p-1)^2 - \frac{1}{2} (p-1) \lt 600 \leqq \frac{3}{2} p^2 - \frac{1}{2} p }

この不等式を満たす自然数 pを求めなければなりません。不等式の右側に注目して、

  \displaystyle{ p \left( p - \frac{1}{3} \right) \geqq 400 }

と変形すると、左辺はほぼ  p^2とみなすことができます。すると、 p \geqq 21という解が得られます。 20^2 = 400を利用して(前回の乗法公式の内容も利用して)、

  \displaystyle{  \frac{3}{2} \cdot 20^2 - \frac{1}{2} \cdot 20 = 600 - 10 = 590 \lt 600}

  \displaystyle{  \frac{3}{2} \cdot 21^2 - \frac{1}{2} \cdot 21 = \frac{3}{2} (20+1)^2 - \frac{1}{2} (20 +1) = 600 + 60 + \frac{3}{2} - 10 - \frac{1}{2} = 651 \gt 600}

 p = 21で正しいことがわかります。これで何丁目かがわかりました。

あとは、先頭が 591となることは上の結果からわかるので、600は第21群の第10番目であることが求められました。

 

この解く過程でポイントとなるのは、不等式から自然数の解を求めるところです。厳密に 2次方程式の解を考えるよりは、大雑把な見積を立てて(ほぼ  p^2に置き換えてしまう)その見積が正しいことを示す方がいいと思います。見積をする過程で、末尾の数も求められるという利点もあります。

 

 

群数列は、数列の二重構造を見抜くことが大事です。今年度あたり、出てくるのでしょうか?