2回では書き切れませんでした。というわけで、今回で数列は最終の・・・はずです。
まずは前回の問題から
Σ記号のわなとして,3つ計算問題を挙げました.いずれの場合も和をとる項にひねりが入っていました.こういう場合には,公式から離れて「どのような項の和を求めようとしているのか」ということに立ち戻るのがよいと思います.
a)は「第5項から第n項までの和」ということなので,
(初項から第n項までの和)-(初項から第4項までの和)
=1/2・n(n+1)-10
=1/2・(n-4)(n+5)
となります.
b)はひねり方自体,いろんなバリエーションが出てきます.
- b1)はΣ記号を分配して,それぞれの和を求めています.このとき,k= 0の項を別にして計算しています.特に,後ろの定数の和に対する k= 0の値は間違いやすいです.
- b2)はb1)とほぼ同じですが,先に k= 0を分離してから計算を始めています.これが一番素直なのかもしれません.
- b3)ができると,かっこよくて,計算も早いです.k=0~nに対して ,「k+1」は 1〜n+1の値をとります.ということは,k=1~n+1に対して「k」であることと同じです.このように和の中身を考えることで,項をスライドさせているイメージになります.
c)は等比数列の和を求めているだけなのですが,結構戸惑わされる人も多いと思います.
c1)はとりあえずどういう和なのかを一度ほどいているイメージです.初項が r,公比が rの等比数列の初項から第 n-1項までの和を求めています.(初項は「rの 1乗」からはじめて、末項は「rの n-1乗」と数えれば n-1番目になることがわかる)
c2)はわざわざする必要もない変形ではあります.ここでのポイントは 1+r+・・・+r^(n-2)は初項が 1,公比が rの等比数列の初項から第 n-1項までの和である(第 n-2項までの和ではない!)ということです.(初項は「rの 0乗」からスタートしていることに注意)
和を計算する中で考えている等比数列の最後の項は
- c1)では,
- c2)では,
と次数が異なっています.しかし,項数はともに n-1項です(Σ記号で書かれている数を見れば明らかではあります).ここだけ見てるとなぜ?という感じになるのですが,実は初項も異なっています.初項が全体の和(初項倍だけ全部の項にかけられていることで調整されている)にも作用するので,問題ないのです.ある意味公式に忠実に「初項は○,公比は△,項数は□」として当てはめることを考えるのがベターかもしれません.
無限級数
数列の初項から無限の項を加えたものが無限級数です.通常は,第n項までの和:に対して n→∞の極限を得ることで求められます.ただし,第n項までの和が「nが偶数のとき」と「nが奇数のとき」で異なるような場合には,それぞれの極限(収束値)が一致したときにはじめて無限級数の和が求められることになります.一致しなければ,「振動」や「発散」するということになるからです.
N!に現れるゼロの数
先日の2014年センタ試験 数学IIB第6問の解説もどき~その1~の最後で,
「N!に対して 0は N/4個未満になることが、ちょっとした計算で求めることができます。」と書きました.これは無限級数を用いて示すことができます.問題をもう少し正しく表現しておくと,以下のようになります.
「N!を計算したとき,末尾に並ぶゼロの数は N/4未満である.」
または「N!を 10で割るとき,割り切れる回数は N/4回未満である.」
結局は 10で割り切れる回数は,5で割り切れる回数と同じですから,N!を 5で何回割り切れるのかを求めます.これは以下のように表されます.
ここで[]はガウス記号です.これは「5の倍数が○個、25の倍数が△個・・・」と数え上げていくことを式に表したものになります.この和自体は計算できないのですが,ガウス記号の性質:[x]≦ xを用いれば
となります.
数列は図形問題でも確率の問題でも出てくるので,ある種計算道具のような存在ではあります.それだけに一般的な漸化式程度はしっかりと処理できるようにしておきたいところですね.