東大をやったら京大もということで,ちょっと時間が経っていますが,こちらも1問ピックアップしてメモを残しておきたいと思います.
問題
2つの関数を
とおく. から始め,各 について,それぞれ確率 で または と定める.このとき,となる確率を求めよ.
一見問われていることが,わかりそうでわからない.そんな問題だと思います.このような問題は確率漸化式の問題と呼ばれたりしますが,よくある形は
「袋の中に,赤玉a個と白玉b個が入っており,無作為に1個取り出して代わりに白玉を1個袋に入れる.この試行を 回繰り返したとき…」
のようなものです.「試行」自体がワンパターンなのが,よくある形なのですが,今回の問題では試行自体が確率1/2で選択になっている(なのか なのか)というものになっています.さらに,回目のときの数値にも依存するので,構造がややこしいです.*1
ややこしいときは…
ただ幸い,この問題も「図式化」することができます.
数列の極限を考えるような問題で,このような「折り返し」の図を見たことがあれば,この図式化はそう難しくはないと思います.「上に向かって進むか,下に向かって進むか」が1/2の選択になっているということです.
となるようにするには?
直線:上の点から,か を選び,ふたたび直線:へ折り返してきたところが次の値を与える.ということがわかりました.なので,「直線:上の に折り返してくるような点」の条件がわかればよいことになります.
ということで,条件が絞り込まれました.を選ぶときには,という条件もつくので,この範囲に含まれている確率も考えなければなりません.と って,範囲かぶってるやん!と嫌な顔をする人もいるかもしれませんが,分けたところで求める確率を考えるときには足し合わせることになるので逆に手間になるかもしれません.
ちょっと考察
でてきた答え(河合塾さんのリンク)で,とすると となります.まあ,この感じだと
()に含まれている確率:について,のとき
となりそうですね.これを言葉で言えば,試行の結果(写像の行き先とでも言えばわかりやすいかも)は一様分布になる.ということになります.出発点は と決まった点であるにも関わらず,試行を繰り返すと のどこかにたどり着くということです.これって,カオスの話ですね.問題文がカオスだけど,問題の内容自体もカオスだったというオチなのかもしれません(笑).
*1:赤玉・白玉の問題では「無作為に1個取り出す」ところが 回目終了時点での玉の状態に依存する確率になっており,いまの問題では「なのか なのか」が確率1/2になっているということに対応しているとも言えます.なので「ワンパターン」の形は変わっていないとも言えます.