久しぶりすぎて,どんな風に書き出せばいいのか?という感じで書き始めています.
小学生がよくする通分の計算間違いから,ちょっと話を膨らませてみます.
「足してしまう」計算間違い
見てもらう方が早いですね.こういうやつです.
分母も分子もそれぞれ足してしまう計算間違いです.
言わずもがなですが,正しくは
となりますが,いつもこうなるのか?という話です.
つまり,
「分母・分子をそれぞれ足してしまう間違いをしたとき,必ず正しい答えよりも小さくなってしまうのか?」
ということです.
ここからは高校数学
はそれぞれ 1より大きい自然数であるとします.
「間違い」をしたときの計算結果は,
正しい計算結果は,
この 2つの大小比較になります.単純に引き算をしてみると,
となって,この引き算はつねに正であることが示されました.
というわけで,上の推測は正しいことがわかりました.
これで終わりにはしません
2つの結果の分母にちょっと注目してみます.間違いの結果の分母は ,正しい結果の分母は と,当然のことながら和と積の違いになります.これらの大小関係はどうなりますか?という話です.
2つの正の数の和と積の大小関係というと,おなじみの「相加・相乗平均の関係」がありますね.
でも,これではいま欲しい関係式にはなりません.上の計算結果を見ても,欲しい結果は です.
単純に,この関係式を導け.と言われると意外に答えられない人が多いような気がします.
以下の変形ができれば,The Endです.
は 1より大きい自然数なので,と言い換えれば,上の式は 0以上であることがわかります.改めて書き下すと,
となります.でも,逆は成り立ちません.自然数に限定しなければ,反例は なんかが挙げられます.
逆が成り立たないことを視覚的に理解する
ちょっと文字を書き換えて,示したいことを書いてみると以下のようになります.
「 が成り立つならば,である」は正しくない.
「視覚的に」とはグラフを用いるということです.そこで,(茶色の領域)や (緑色の領域)を図示してしまいます.*1
すこーしだけ茶色の領域がはみ出しています.この領域にある数の組合せが反例になります.上の反例もこのグラフから読み取ったものです.
たまにですが,不等式の証明に領域を使うことがあります.集合でいうところの包含関係のように 2つの領域があれば満たされるとなり,包含関係にならなければ(はみ出しがあれば)満たされないということになります.
こんな示し方もあるんだなってことは知っておいて損はないと思います.
*1:は正であるとしています