大阪大,京都大と関西国公立の2大巨頭で,「音波の干渉 with 壁で反射」で指摘を受けるということになりました.ちょっとポイントをわたしなりに整理してみました.
必要な考え方や情報は以下を参照いただければよいかと.
- 縦波の反射~2017年大阪大物理[3]のメモ~ - 理系男子の独り善がり
- 音叉の振動モード - 理系男子の独り善がり
- 「疎密波の密度変化が変位の微分で与えられること」の備忘録 - 理系男子の独り善がり(これは飛ばしてもいいです)
大阪大物理[3]
説明資料は,
平成29年度大阪大学一般入試(前期日程)等の理科(物理)における出題及び採点の誤りについて【3月30日追記あり】 — 大阪大学
音源(音叉)から出る音波の位相が不定(「同位相振動モード」or「逆位相振動モード」)であり,観測者(マイクロフォン)は音源と壁(反射板)の間にはいない.
なお,「同位相振動モード・逆位相振動モード」は,上記大阪大の説明資料中の文言です.
京都大物理III
説明資料は,
平成29年度京都大学一般入試 理科(物理)における入試ミスについて — 京都大学
音源から出る音波の位相は「逆位相振動モード」相当であるが,観測者の位置が不定(音源と壁の間にいる or いない)である.
京都大の記者会見に出てきた図を見ていると,車が国産車(右ハンドル)なのか外国車(左ハンドル)なのかという問題にも見えます.
表にすると,以下のようになります.
共通していたのは,当初の正解は「変位(位相)による計算」で「壁での反射は固定端反射」を前提としていたが,観測はあくまでも「音を聞く」という音圧の観測となっていたところです.
京都大の資料(別紙3)の最後で,以下のように記されています.
『音波に関する問題を考える際には、媒質である空気の圧力変化と変位の振動が互いに影響を及ぼし合いながら空間を伝わることを正しく認識する必要がある。』
これらの物理量には,変位はベクトル量(向きと大きさ),疎密はスカラー量(大きさのみ)という違いがあります.なので,変位で考えるときには位置関係(により与えられる向き)が重要になってくるわけです.
ふだん何気なく聞いている「音」も,このように案外難しい仕組みなんだよ.と改めて教えてくれた一件だったのかなと思っています.