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理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

「2017年大阪市大前期理系数学第1問」のメモ~積分の基本を学ぶにはいい問題だと思います~

Math Exam

タイトルにも書いたように,積分の練習問題としてはいい問題だと思います.「いい」というのは,ある意味「ひっかけ」もあるってことでもあるのですが(笑)

問題

半径 1の円柱を,底面の直径を含み底面と角 \alpha \displaystyle{ \left( 0 < \alpha <\frac{\pi}{2} \right) }をなす平面で切ってできる小さい方の立体を考える.ただし,円柱の高さは \tan{\alpha}以上であるとする.次の問いに答えよ.
 問1 この立体の体積 Vを求めよ.
 問2 切り口の面積 Aを求めよ.
 問3 この立体の側面積 Bを求めよ.


まあ問題はいたってシンプルで,図を描くのも全然難しくないですね.

問1と問2は,直径に垂直となるように切るようにすれば求めることができます.以前,蕎麦とか饂飩とか言ってた方法です.
miwotukusi.hatenablog.jp

で,同じノリで問3をやってしまうと,「やっちまったな~っ!」となるわけです.でも,ここでは,その「やっちまった」場合でもきちんと計算すれば答えにたどり着くことを示しておきます.

問3の別解の前に

一つ注意事項です.ここでいう「側面積」とは,切り口と底面を含まない曲面部分を指すものとします.この問題では,そこが厳密に書かれていないので,解答の前にこのような前置きをしておいた方がいいと思います.(試験会場で聞いても,問題に関することは答えられないと言われてしまう可能性が高いので.) *1

問3の別解~「やっちまった」場合の計算~

微小な幅をもった側面積は,長方形の面積として考えることができます.これを x軸方向の微小な幅 dxに対して足し上げる(積分する)ことになります.
問題は,この長方形の幅です.長方形は,底面の円の接線方向に傾いています.よって,dxの幅に対して,長方形の幅は一定ではなくなってしまいます.このことがわかっていないと,「やっちまった」結果になってしまいます.

下図のように,点を与えることとします.
f:id:miwotukusi:20170316231512p:plain

Pの座標を (x,y)とおきます.当然,x^2+y^2=1が成り立ちます.よって,点Pにおける接線の傾きは, *2
 \displaystyle{ \frac{dy}{dx} = - \frac{x}{y} }

さらに,この式を変形して, \displaystyle{ dy = - \frac{x}{y} dx }となり,長方形の幅は
  \displaystyle{ \sqrt{(dx)^2 + (dy)^2} = \sqrt{(dx)^2 + \left( \frac{x}{y} \right)^2 (dx)^2} = \sqrt{1+\left( \frac{x}{y} \right)^2} dx }

となります.これが x軸方向と円の接線方向との「ズレ」なわけです.
このズレの話は,以前に書いていた ↓ の内容につながってきます.x軸の世界と円周上の世界の違いが現れているわけです.
miwotukusi.hatenablog.jp

幅がわかったので,高さを求めておきます.PQ = \sqrt{1-x^2}ですから,PQ = \sqrt{1-x^2} \tan{\alpha}となります.長方形の面積: dBは,
 dB = \displaystyle{ \sqrt{1+\left( \frac{x}{y} \right)^2} dx \cdot \sqrt{1-x^2} \tan{\alpha} } = \tan{\alpha} \ dx

と,拍子抜けなものが出てきました.でも,これを  -1 \leqq x \leqq 1の間で足し合わせればよいので,
  \displaystyle{ B = \int_{-1}^1 \tan{\alpha} \  dx = 2 \tan{\alpha} }

が答えとなります.

ただし,脚注にも書いているように,分母が 0の場合というあやうい部分があるので,おすすめの解答とはいえないです.

おまけ

側面をぺろっとはがして,それを平面にぺたっと張り付けたら,どんな図形(曲線)になるでしょうか? OPx軸の正の方向となす角を \thetaとすれば,

  •  0 \leqq \varphi \leqq \thetaの間の円弧の長さは半径が 1なので,\theta
  • 高さはすでに求めているように,\sqrt{1-\cos^2{\theta}} \tan{\alpha} = \sin{\theta}\ \tan{\alpha}

というわけで,座標系を xy平面に書き改めれば
  y = \sin{x}\ \tan{\alpha} \ \ ( 0 \leqq x \leqq \pi)

となります.これは,極座標として考えた場合を少し変えただけ(どんな図形になるのかという考えをはさんで)のものになっています.

*1:でも,そのあと大慌てで,黒板に訂正が入るかもしれませんね.

*2:当然のことながら,y \neq 0であることが条件として入りますが,一度ここでは無視してしまいます.