みをつくしのひとりよがり

2022/08/10にブログ名を変えました.仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

Phys-Thm

「2023年東大物理第3問」のメモ

気になっていた東大さん第3問です(東大さんの物理の問題は初めて書きます).最近流行り(?)の風船の問題になっています.で,正直言って,IIIの(1)まで解ければ十分じゃないかと... I 風船を少しだけ膨らませたときの仕事と風船内部の圧力 ここの内容は,聞…

京大のゴムひも問題の比較(2022年と2007年)からの...とある物理量

今日,5月6日は語呂のとおり「ゴムの日」です.というわけで,前回取り上げた2022年京大物理第3問(ゴムひも問題)のおまけみたいな内容を書いていきます.タイトルのとおり,2007年のときとの比較をしておきます.問題文を眺めているだけだと同じように見える…

「2022年京大物理第3問」のメモ

京大さん第3問は,2007年にも登場したゴムひもを扱う問題です*1.2007年のときとは扱っている過程が異なっているので,ところどころ違っています.シリンダー内にある理想気体のサイクル過程とゴムひものサイクル過程を比較していきます.問題文冒頭に書かれ…

「2022年名大物理問題III」のメモ

名古屋大さんの問題を初めて書いてみます. この熱力学の問題,大手予備校さんの評価は「やや難以上」なんですよね.内容的にあまり見かけないこともありますが,数値計算力を試されている部分もあるからなのかと思います. 熱気球が出てくるところからも,…

「2022年同志社大(社会・理工)物理[III]」のメモ

前回に引き続き,こちらの熱力学の問題についても,メモを書いておきます.こちらの問題は「書いてある意味の読み取り」や「言い換え」がポイントなのかなと思っています.昨年の阪大物理第3問Aのように弾性力のあるゴム風船を膨らませたり,水に沈めてみた…

「2022年同志社大(全学部理系)物理[III]」のメモ

物理[I]については,以下のネタに軽く補足を入れています. miwotukusi.hatenablog.jpで,今回取り上げる問題も,ぱっと見では「なんか過程や条件が複雑になるだけの問題かな?それで,やや難評価?」と思っていたのですが,解いてみるとなかなか面白い内容…

「2021年阪大物理第3問」のメモ

第3問は大問でも小問でもない「中問」ぐらいの問題が2つ出てきます.ですが,今回は大問+小問という感じです.そして,このAが今回メモを書いている中で一番いやらしいと感じた問題です. そのAの問題設定自体はシンプルなのですが,数式変形に追われる感じ…

「2020年京大物理第3問」のメモ

京大さん第3問は,気体分子運動論の「壁動きますバージョン」になっています.粒子の衝突という形で単原子分子気体を扱い,その後二原子分子気体の場合に拡張しています.相変わらずの問題文の長さではありますが,一番素直に解ける問題なのでは?と思いまし…

「熱気球が浮く仕組み」の焼き直し

熱気球のネタの焼き直しです。ちょっと書き加えているところもありますが、内容を変えるまでではないです。 miwotukusi.hatenablog.jp 入試問題としても、ちょくちょく扱われる「熱気球の問題」を考えてみます。他の熱力学の問題とは少し違った考えが必要に…

「2018年大阪市大前期物理第3問」のメモ

いまさらな感じもありますが,「的中」なところもあったのでそこへの追記と合わせてメモを残しておきます.最近,大手予備校さんの解答速報はしばらく時間が経つと,問題が削除されるんですよね.著作権の問題からでしょうか?問題としては,カルノーサイク…

「2018年京大物理第2問と第3問」のメモ

前回に引き続き,京大さんの問題をおさらいしておきます.なんとなくですが,「実践的な問題」という印象を持つようになってきました. 第2問~電磁場内の電子の運動~ トムソンの実験からはじまり,電場・磁場の両方がかかったドリフト運動とその発展という…

クールビズより,ウォームビズ(熱力学的考察)~その2~

前回の続きです.本題に入っていきます. ヒートポンプ 先に挙げたカルノーサイクルは,P-V図において時計回りにその過程が進んでいきました.これを反時計回りに進めることを考えると, サイクルに仕事を「与え」,低温部から高温部へ「熱を移す」というサ…

クールビズより,ウォームビズ(熱力学的考察)~その1~

すごく久しぶりの更新になります.2回ほど,熱力学の話を書こうと思います.ある意味,季節ネタな感じです. まず,その1は下準備になります. 熱力学の第2法則 第1法則については,以前に「公式で覚えちゃダメ」と書かせてもらいました.*1それに引き換え,…

大気の物理~その3(2年越し)~

※texをいっぱい張り付けたので,少し表示が重いかもしれません.以前に,熱気球の話から大気の物理へ続くネタを書きました*1が,その第3弾です.いまさら書くには理由があるのです. それは,以下の大気の気温減率を扱った2問です. 2016年大阪大学前期専門…

大気の物理(熱気球からの発展)~その2~

前回 は,結構式をこねくり回しました.今回はそこまではないと思います.その分,物理的な思考が必要になりますが. 相変化と熱 物質には「三態」と呼ばれる状態があります.みなさんよくご存じの固体・液体・気体です.これらは「相」とも呼ばれます. 前…

大気の物理(熱気球からの発展)~その1~

熱気球の問題についていろいろ書いてきましたが,もうちょっと突っ込んだ内容を書いてみようと思います.熱気球が浮く仕組みでも書いたように,気球内外の大気の重さのギャップによって気球は浮くことになります.もうちょっと整理して書いてみると, 気球に…

熱気球が浮く仕組み~ちょっと補足+α~

新年度が始まり,ちょっと更新がもたついています(苦笑). 最近になって熱気球が浮く仕組みがアクセストップになりました.で,ちょっと気になり再度確認したところ,今年の入試問題に熱気球が出てたんですね(笑). まずは,ちょっと補足 熱気球が浮く仕組み…

熱気球が浮く仕組みリターンズ

先日熱気球の問題 を取り上げましたが、いい応用問題があったので取り上げることにします。気体分子運動論を除けば、この問題で一通り熱力学は学習できるような気がします。元ネタは、2006年京都大学前期物理第3問です。 ※分数や指数の式が頻繁に現れるので…

熱気球が浮く仕組み

2018/10/13追記 本ネタの焼き直し(数式の表記化が主)をしました。 miwotukusi.hatenablog.jp 入試問題としても、ちょくちょく扱われる「熱気球の問題」を考えてみます。他の熱力学の問題とは少し違った考えが必要になってきます。 ポイント1:熱気球は「閉…

熱力学の第1法則は、公式で覚えちゃダメ

高校物理の熱力学が苦手という人は、結構多いように思います。中学校の理科でも出てこなかったような内容なので、苦手というよりも慣れていないということなのかもしれません。 熱力学の第1法則 何を表しているかと言われると、「気体におけるエネルギー保存…