小さい頃,よく近所の「パン屋さん」におつかいに出されました.歩いて10分くらいのところにあったパンやお菓子,文房具も置いてあったようなお店です.いまから思えば,そこで算数的・数学的センスが鍛えられたというよりも,「その場で考え,工夫する」という思考力が鍛えられていたのかな?と.
昔話ではなく,いまでもお買いものには,いろんな数学がまとわりついています.思いつくところをいろいろと書いてみます.
電子マネーって・・・
最近はスーパーでも Edyのような電子マネーを利用できるようになっています.わたしはどちらかというと現金主義なので,普通に紙幣・硬貨で支払いをします.レジでの流れはおおむね以下のようになります.
- 商品をカゴに入れて,レジに並ぶ,
- レジ係の人がバーコードを読ませて,出た合計金額を見てから
- お金を支払い,
- お釣りをもらう.
この流れの中に,わたしがいつもしていることを書きいれると
- 商品をカゴに入れて,レジに並び,紙幣と小銭がいくらあるかを確認する.カゴの中を見て,合計がいくらぐらいになるかを予想する.
- レジ係の人がバーコードを読ませて,出た合計金額を見てから
- お釣りでもらう枚数が少なくなるように,お金を支払い,
- レジスタにお釣りが表示される前にお釣りがいくらになるかを計算し,お釣りをもらう.
となります.わたしが一番のポイントとしているのは「持っている小銭の数」です.数学っぽい言葉で言い換えれば,
「お釣りをもらった後の小銭の枚数が最小となるように,支払う小銭を決める」という最適化問題
を考えているということです.これはみなさんもよくやることだと思います.たとえば,296円の支払いに対して,
- 300円を払えば,4円=1円玉×4枚がお釣りとなるが,
- 301円を払えば,5円=5円玉×1枚になる.
ということです.こういうときに,1円玉が1枚もなかった時には「あぁ~」という気分になるわけです.
このような考え方は「引き算」を使うことできる強みからきているものだと思います.おそらく,これを海外でやると「What?」という顔をされるのではないでしょうか?彼らは「足し算思考」なので,引き算してお釣りを返すというよりは,
「商品の値段にいくらを足せば,きっちりした数字になるのか」
という考え方でお釣りを返してきます.なので,301円のような端数を渡されると「?」になると思います.日本では店員さんも驚くことなしに「こいつ,小銭の枚数を減らそうとしているな」と暗黙にわかってくれるので,そこはある意味すごいなと思います.
最後の 4.にあるお釣りを計算するのは単に「暗算」なのですが,小学校で習うようなものとは逆の順番で引き算をしています.これも具体的な数字で説明したいと思います.
「合計金額 3752円に対して,5000円札×1枚で支払う」
このときのお釣りを計算します.通常であれば,一の位を引き算して,繰り下がりして十の位,百の位,千の位と計算していきますよね.それを棒グラフのように考えると,大きな位から計算をしていくことができるようになります.お釣りも「1000,200,40,8」のように順に導き出すことができます.先に書いた海外の例に近い考え方ではあります.
レジの並び方
順番が逆になりますが,レジに並ぶところを考えてみます.よくあるのは「あっちが早いのか,こっちが早いのか」という悩みですね.数学でいうと「待ち行列理論」という話になります.
レジにかかる時間(サービス時間)が一定であれば,フォーク型の並びの方が効率の良い並び方になります.具体的には,銀行のATMや駅の窓口での並び方です.しかし,これには待つためのスペースが必要になるので,スーパーのようなところには不向きです.
スーパーのような並び方では,並んでいる人数が同じであれば下手にレジを変えない方がよいようです.ただ,レジにかかる時間というのは「カゴに入っている量」や「入っている品物の種類」「レジ係の人のスキル」という要因によっても変わってきます.野菜などの生鮮品が多いと時間がかかるという特性もあります.一説では男性買い物客は,生鮮品を買うことが少ないので,その後ろは早いというのがあるそうです.
レジ袋
支払いの後はレジ袋に買ったものを入れましょう.もちろん,エコバッグでも構いません.ここは空間認知能力が試されるところです.決められたスペースにいかに効率よくモノを収納することができるかです.さらに,
- 買ったモノの強度(紙箱なのか,パックなのか)や
- 形状(直方体なのか,野菜のように不定形なのか)
- 重量(重いものはなるだけ下に)
といったことも考えないといけません.まわりを見ていると,モノを詰める場所自体の使い方が下手な人は,詰め方も下手なように思います.ちょうどテトリスのような感覚ですよね.余裕があれば,子供さんにさせてみるのも面白いかもしれません.