もう一度,問題文からきっちりと整理しておきたいと思います.ある意味,備忘録という感じですが.
問題文を読み返す
問題文を順に読み解いていきます.まずは,冒頭部分から
ここでは,コストが確率的に変動するということが書かれています.商品単位あたりのコストが or になるということです.は確率なので0から1の間の値をとり,コスト と には の関係があるということです.との大小関係は,必要に応じて考えることにしておきます.
ここからややこしくなってきます.「観測」という言葉ですが,コストに対して用いられているところから「原材料の仕入れ値などから算出したコスト」ととらえ,「算出」という言葉に置き換えるのが一番わかりやすいのかな?と思いました.
他企業のコストを直接知ることはできないが,市場の状況(2種のコストの値やそれらをとりうる確率)は,知ることができますよ.ということを表しています.
そして,自分の企業でのコストが や であると算出した後で,生産量を決定しており,それらを や とおいているということになります.
これは以前にも書いていたように,
「相手の企業の生産量は確率による「期待値」として知ることができる.その条件の下で,自分の企業でのコストも踏まえて,利潤を最大化する生産量を決める.」
ということになります.下線部は今回追加しています.
こちらも以前に書いたように,生産量の期待値がどの企業でも変わらないことから,生産量の組も同じ値となって現れます.最後の比較は,とりあえず言われているとおりに比較することを考えます.
(A-1)のように,企業1の利潤を最大化する生産量を探る
ここは少し逆順で考えてみます.
- 企業1の生産量は,の組から「期待値」として与えられる.(観測した後の生産量は確定するが,観測する前では生産量も確率的になるから)
- は,企業1のコストが のとき利潤を最大化する生産量である.また,は企業1のコストが のとき利潤を最大化する生産量である.
- 企業1の利潤には,企業2の生産量もかかわっている.企業2の生産量は「期待値」:として知ることができる.
結果,は と から得られ,は と から得られる.そして,より,企業1の生産量の期待値:が与えられる.ことになります.
「期待値」と「場合分け」が入り乱れて出てくるので,整理がきちんとできないとカオスです.
さて,解答とその考察ですが・・・
河合塾さんの解答では,話の筋をだいぶ整理した形で書いてあるので,いきなりこのような回答を書くというのは無理があるかなあ?と思います.たとえば,書き出しのところは,わたし流だとこんな感じになります.
・・・と以下 を に置き換えた式が登場します.
次に,解答の終盤で「常に は成り立つ」という文章が現れ,そのことを示すための式変形がこの文章の前に登場します.唐突に現れている感じですが,これは商品の価格:が常に正であること(排除される状況にはないこと)を示しています.どうせなら,そこまで書いておいて欲しいなあと・・・
で,ここで得られた結果は,についても調べた結果を含めて,以下のようになります.
これがどのようなことを意味しているのか・・・,
1つ目の不等式は「コストが安い方が,より多く商品を生産できる」というようには解釈できるのかな?と思いました.
そして,2つ目の不等式からは
「商品のコストが画一的になる方が,生産量は安定する(振れ幅が小さくなる)」
ということが言えるかと思います.ちょっと自信ありません・・・
この(A-4)は問題の内容を理解するのが大変ですね.登場人物(変数)が多いのも拍車をかけていますね.東大に入るくらいの人は,さらっと読めるのか,過去に読んだことがあるということなんでしょうか?計算自体は分数の計算しかないんですけどね(笑)