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理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

料理 de すうがく & ぶつり

西日本から関東あたりまでは梅雨明けをしたようですね.最近,ネタを揉む時間があまりないせいか,純粋な数学や物理の話に向くことが多かったようです.たまには「役に立つかはつゆ知らず」な生活じみたネタも書いてみようかと.

料理は科学だ

と言った人がいるかいないかは知りませんが,料理というものは科学実験に似ていると思います.温度などの条件,手順が違えば,異なる結果(失敗)になるわけです.ただ「料理は科学実験に似ている」というと「化学実験」のようなイメージをもつ人も多いかと思います.ここでは,そこは通らず(避けて?),あくまでも数学と物理に徹して,いろいろと解釈を付けてみたいと思います.

1時限目:微分積分

いままで,微分積分の根本にかかわるようなネタは書いてませんでした.ここでは,高校数学レベルでのイメージにつながるような内容を取り上げていきます.また,細かいところは,別の機会に書けたらいいなと思ってます.

「切る」とは微分のこと

特に「うすく」切る・削るというのは,微分を実践しているといえます.

たとえば切る・削るとはまた少し異なりますが,「かつらむき」なんていうのは曲線(曲面)は直線(平面)のあつまりであることを如実に見せてくれるいい例だと思います.

「切る」を逆再生すれば積分

うすく切る or 細く切るというのもいい例です.あくまでも想像の世界で,切ったものをもとに戻すことを考えてみてください(ほんとにやったら怒られますよね).これもいろいろと例が挙げられますが,

  • そば打ちをして切ったそばを,切る前の状態(麺棒で伸ばした状態)に戻す.
  • きゅうりをうす切りにしたものを,もとのきゅうりの形に張り合わせる.
  • 1個のじゃがいもをうす切りにして揚げたポテトチップスを,もとのじゃがいもに戻してみる(チップスが曲がったり割れていなければですが).

こんな具合です.
そばの場合ですが,切られたそば1本1本は長方形のように見えますが,決して切る前の形は長方形ではありません.端っこは曲線になっていることが普通です.これこそ,積分の考え方になっているわけです.ほそーく切り出せば,曲線で囲まれた図形でも,「ほぼ長方形」として扱っていいわけです.そして,そばの幅を一定にしておくと,

 (そばを切る前の面積)=(1本の長方形のたての長さ)×(一定のそばの幅)を足し合わせたもの

となるわけです.面積を S,たての長さは場所によって異なるので f(x),一定の幅を Δxとおくと,
  S = \sum f(x) \cdot \Delta x

と書くことができ,ここから積分のイメージを与えることができます.

あと,きゅうりとじゃがいもが残っていますが(笑),これらはうす切りにした「平面」を寄せ集めることになるので,体積を与える式になります.そばのときには,1本の右側と左側それぞれの長さは同じと考えた(長方形とみなした)わけで,じゃがいものときは1つの平面の表と裏の面積は同じと考えるわけです.そして,一定の幅は一定の厚みという言い方に変わります.
  V = \sum S(x) \cdot \Delta x

面積はそば,体積はじゃがいも(ポテトチップス)と覚えておくといいかもしれません.*1
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2時限目:熱力学

やはり,ごはん(お米)は欠かせませんよね.もう古典中の古典というほど,よくでている話ですが,山の上でお米を炊くときの話です.富士山の上では,水の沸点が88度ぐらいになってしまうため,普通にお米を炊こうとすると芯が残ってしまうわけです.これは,富士山頂での気圧が低いから.という理由で片づけられることが多いですね.もうちょっとちゃんと整理しておきましょう.

  • まず,「水が沸騰する」とは水の内部からも気化がおこることです.表面だけから気化することは蒸発といいます.水は表面だけでなく,内部も外気圧の力を受けているわけで,それが低くなれば外に出やすくなる(気化しやすくなる)ということになります.
  • なので,気圧が下がると*2,沸点も下がるわけです.
  • この状態で普通にお米を炊こうとすると,十分な加熱がないままに沸騰が始まってしまいます.お米は,水分と過熱によるでんぷんの変化(糊化(こか))によって,やわらかいご飯になります.それが十分にできないため,芯が残ってしまうわけです.


では,どうすればよいかということですが,「圧力を高めるために,ふたに重石をする」「じっくり熱を与えてあげる(弱火で炊く)」といったことが挙げられます.上で挙げた理由のどの部分への対処なのかも考えてみるといいですね.

3時限目:電磁気学

思わず,「チンする」と言ってしまう電子レンジです.もう言い古されていますが,物質中の水分子を振動させることで加熱をおこなう仕組みです.ですので,水分があまり含まれていないものの加熱には向かないわけです.逆に,そのようなものを加熱したいときには,湿らせる・濡れた新聞紙で包むといったことをすることになります(単にこれだけでできるわけではないですが).
この加熱に利用している電磁波の周波数は,2.4GHzです.実は,この 2.4GHzという周波数は,無線LAN(IEEE802.11b,g)と重なっています.なので,機械の配置や建物の構造によっては,「電子レンジを使っているときだけ無線LANがつながらない」といったことが起きたりします.
当然,人体にも水分があるわけですから,危険であることはわかりますよね.乾燥機のように温めているわけではないですから,その辺はきちんと理解しておきたいところです.

4時限目:揚げ物

いきなり,教科名が調理法になってしまいました.熱力学なような気もするのですが.
天ぷらやフライといった揚げ物をしているときに,揚げ頃を表す言葉として,

「泡が小さくなったら」「泡がはじける音が高くなってきたら」

というのを聞いたことがあると思います.これって,科学的(物理的)にはどういう状況を表しているのかということです.そもそも「泡」の正体は何でしょうか?それは水です.つまり,揚げ物とは「食材の水分量を適度に抜き,加熱すること」なのです.
揚げはじめでは,水分が多く出てきます.水が沸騰するがごとく,それが大きな泡となって出てくるわけです.ですから,揚げ頃になると,出てくる水分も少なくなり,泡も小さくなります.泡がはじける音の高さは,泡の大きさで変わるので,音も高くなります.

5時限目:力学

ここでは,チャーハンを作ってみましょう.炒めがある程度になると,「あおり」をしてご飯をぱらつかせるようにします.この「あおり」ってフライパン or 中華鍋に沿って投げ上げる「鉛直円運動」のような感じがしませんか?どれだけの勢いで鍋に沿わせて,投げ上げるか,そして放物運動したご飯を受け止める.なんか,こういう運動を扱った入試問題でも出ないかなあ?なんて思ってしまいます.


他にも,漬け物(浸透圧)といったものもあったりしますね.ちょっと視点を科学よりにすることで,料理もうまくなるのかもしれません.まあ,習うより慣れろだとは思いますが.ごちそうさまでした.

*1:高校数学では,ほかに体積はバームクーヘンというのもあるのですが...

*2:このあたりについては,過去のネタ「大気の物理(その1その2)」を参照ください