理系男子の独り善がり

仕事や生活に役立ちそうな(実際に役立つかは別として)数学・物理ネタをつらつらと書いていこうと思ってます.

「2016年東大前期理系数学第6問(積分)」のメモ

図形の計量に関する問題です.この問題,変数をどのように置くかでいろいろな回答が出てきます.こういう置き方もありますよ.というものを一つ挙げておきます.

問題の概要と方針

問題自体は書きませんが,ちょっと生活感を出した感じにすると,次のようになります.
「床から高さ1mのところにリングを置き,そこへ長さ2mの棒を通す.棒の片方を床につけたままグリグリと移動させたとき,棒が通る部分としてできる立体の体積を求めなさい(ただし,リングよりも上の部分だけ).」

リングより下の部分は,単なる円錐の体積として与えられるので中学生でも求められます.考えている立体は,xz平面内での点Bの動きについて調べて,それをぐるっと回すという流れになります.

回答の方針としては,以下のようなものが挙げられます.

  1. 点Bの軌跡を表す方程式(陰関数)を求め,x^2zの関数として表す.
  2. 線分ABとz軸が交わる角度を変数として,点Bの座標を表し,回転体の体積を求める.
  3. 点Aの座標を変数として,点Bの座標を表し,回転体の体積を求める.

ここでは,3番目の方法について書いていきます.2番目の方法と合わせて,体積の積分を考えるときの注意点があります.

3番目の方法

まずは,点Aを動点Atとして座標も(t,0,0)として与えます.また,これに伴って,点Bも動点Btとなります.すると,
 \overrightarrow{OA_t} = (t,0,0)
 \displaystyle{ \overrightarrow{A_t B_t} = \frac{2}{\sqrt{1+t^2}}(-t,0,1) }

となります.2つ目の式が唐突な感じですが,後ろの(-t,0,1)はベクトルAtCを表しており,その長さが\sqrt{1+t^2}であることから,2/\sqrt{1+t^2}倍すればベクトルAtBtになるという式になります.*1

よって,点Btの座標は
 \displaystyle{ \overrightarrow{OB_t} = \overrightarrow{OA_t}+ \overrightarrow{A_tB_t} = \left( t \left( 1-\frac{2}{\sqrt{1+t^2}} \right),0, \frac{2}{\sqrt{1+t^2}} \right) }

と表されます.ここまで来れば,7割は解けたも同然です.求める体積ですが,0 \leqq t \leqq \sqrt{3}であることから
 \displaystyle{ \int_{0}^{\sqrt{3}} \pi \cdot \left( t \left( 1-\frac{2}{\sqrt{1+t^2}} \right) \right)^2 \ dt }

とすると間違いです!
回転体の「半径」をx軸方向にとっているということは,「厚み」はz軸方向になります.つまり,dzという微小量が積分変数となるわけです.積分の計算は,何について積分をとっているのかをきちんと理解して実行することが大事です.

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ちょっと余談ですが,(大学以降の)物理でおこなう積分では「何について積分」ということを明確にするため,
 \displaystyle{ \int \color{red}{dz} \ \ \pi \cdot \left( t \left( 1-\frac{2}{\sqrt{1+t^2}} \right) \right)^2 }

積分変数を前にもってきて表記することが多いです.*2


閑話休題,点Btの z座標から被積分関数を zの関数として書き換えることをおこないます.すると,
 \displaystyle{ \left( t \left( 1-\frac{2}{\sqrt{1+t^2}} \right) \right)^2 = \left( \frac{4}{z^2}-1 \right) (1-z)^2 }

となります.あとは,積分区間を整理すればOKです.t=0のときz=2,t=√3のときz=1となります.これは,図形的にも理解できるところです.ただし,このまま積分区間をあてはめて計算すると,答えがマイナスになってしまいます.z軸に沿って積分を実行するので,zが減少する方向に積分を実行すれば当然マイナスになってしまいます.*3
結果,求める体積は次の積分で求められます.
 \displaystyle{ \pi \int_{1}^{2} \left( \frac{4}{z^2}-1 \right) (1-z)^2 \ dz }

z≦1となる円錐部分の体積も足してもよかったのに.と思ったりするのですが,どうなんでしょうね.2つ目の方法と3つ目の方法は,t=√3(棒がリングから抜け落ちる直前)の状態もわからないとダメですからね.

*1:\displaystyle{ \frac{1}{\sqrt{1+t^2}}(-t,0,1) }は,ベクトルAtBt方向(ベクトルAtC方向)の単位ベクトルになっています.

*2:単に被積分関数が長~くなって,どこに書いたかわからなくなるからかもしれませんが.

*3:改めて,「1 \leqq z \leqq 2について積分を計算する」と捉えなおす方が素直かとも思います.