先の回では,漸近線や極限値・近似値といったものを用いて評価することを考えました.ここでは,物理の公式と呼ばれるような式での評価を考えてみたいと思います.
物体の衝突
運動量保存則を用いる問題です.
右向きを正の方向として式を立てています.立てるべき式が立てば,連立方程式を解くだけですね.さて,得られた式を見ると,「次元」がちゃんと速度の次元になっていることがわかりますね.そのことがわかるような書き方をするというのも,ある意味センスかな?とも思います.
そして「評価」なのですが,M→∞という極限を考えてみます.すると,
v’=-v,V’=0
という結果が得られます.この物理的な意味はわかりますか?この極限をとると,「静止していた物体」は「壁のごとく動かない物体」という存在に変わります.そして,弾性衝突なので,動いていた方の物体は見事に同じ速さで跳ね返されています.「評価の結果」はごく当たり前のことですが,このような工夫を意識することも物理を学ぶ上で大事かと思っています.
ギターの弦
次元の回で,ギターの弦の例を挙げました.もう一度簡単に内容をおさらいしておくと,
- 弦の長さ(指を押さえる位置):S
- 弦にはたらく張力(「ペグ」と呼ばれる金具により張りの強さを変える):T
- 弦の太さ(線密度):ρ
に対して,奏でられる音の周波数:fは,
と与えられました.もう少し厳密に書き直すと,
- 弦の長さ:Sを短くしたり,
- 弦の張り(張力):Tを強くしたり,
- 弦の線密度:ρを小さくしたり(弦を細くしたり),
- 弦に現れる腹の数が多くなるようにしたり,
すればいいわけです.逆のことをすれば,周波数は低くなります.
このような考え方は「公式」と呼ばれるものには,ほとんど適用できる評価になります.いろんな公式で試してみてはどうでしょうか?思わぬ発見もあるかもしれません.
ここまでは一つの式で,変数の極限を考えたりしました.次回では,二つの事象や式を比較するという評価をしてみたいと思います.