ベクトルについて、もう一つ基本事項が抜けていたので追記しておきます。
ベクトルの基本4:内積
2つのベクトル a→と b→のなす角を θとすると、
a→・b→= |a→| |b→| cos θ
となります。2つのベクトルの始点を重ねたときにできる角について述べています。
「2つのベクトルが垂直であること」を示すことに、よく用いられます。
ただし、
a→・b→= 0 ならば a→⊥ b→ または a→=0→ または b→=0→
と零ベクトルになる場合もあるということを忘れないように。
三角形の面積
2つのベクトルによって作られる三角形の面積をベクトルを用いて表します。これも公式として書かれているものもあると思いますが、難しい内容ではないので導出過程を覚えておく方がいいと思います。
△OABにおいて、OA= a= |a→|、OB= b= |b→|、角AOB=θとすると
△OAB= 1/2* ab* sin θ
として求められます。b* sin θが 辺OAに対する高さになっていると考えればよいわけです。
aと bはベクトルの大きさとして与えられるので、sin θを書き換えていきます。内積の cos θで書き換えればいいわけです。
cos θ= (a→・b→)/ab
より
sin^2 θ= 1- cos^2 θ
sin^2 θ= 1- { (a→・b→)/ab }^2
sin^2 θ= { (ab)^2- (a→・b→)^2 } /(ab)^2
0<θ<πのとき、sin θ> 0ですから
sin θ=√{ (ab)^2- (a→・b→)^2 }/ab
となります。これをもとの面積の式に代入すると
△OAB= 1/2* √{ (ab)^2- (a→・b→)^2 }
となります。a→= (X1, Y1)、b= (X2, Y2)と成分で表すと
△OAB= 1/2* √{ (X1^2+ Y1^2)(X2^2+Y2^2)- (X1X2+ Y1Y2)^2 }
= 1/2* √{ (X1Y2- X2Y1)^2 }
= 1/2* | X1Y2- X2Y1 |
と簡単な式で与えられます。
内積はなす角を求めるだけでなく、先に書いたように直交する条件として用いることも多いです。さらに、直交する条件から垂線の足を求め、三角錐や四角錐の体積を求めるという発展もよくあります(今年のセンタ試験にもありましたよね!)。