今日はバウムクーヘンの日だそうです.ユーハイムさんが日本ではじめてバウムクーヘンを焼いた日がちょうど100年前の今日だそうです.はじめての地が広島だったとはちょっと意外でした.
2022/03/29追記:いまさら知ったことなのですが,この「広島」というのは当時の広島県物産陳列館,いまの原爆ドームで焼かれたとのことです.100周年のリンクが切れていたので,歴史のページに変更しました.
ユーハイムの歴史 | ユーハイム | Juchheim
で,それにちなんで(?)「バウムクーヘン積分」の話をしておきます.以前,料理のコーナーの注釈で触れている程度でした.
miwotukusi.hatenablog.jp
回転体の体積を求めるときに使うものです.
通常使う回転体の体積の求め方は,ちょっとおさらいしておくと,
- 回転軸に対して垂直な面で「輪切り」にして,
- 輪切りの厚さを微小()とすることで,輪切りの表面と裏面の面積が等しい円筒形であるとみなして,
- 積分して足し合わせる.
こんな感じでした.
バウムクーヘン積分は,文字どおりバウムクーヘンのように,回転軸から外に向かって薄い円筒を重ねていったイメージで体積を求めるものです.ちなみに,バウムクーヘンはドイツ語で木のお菓子(baumは木,kuchenはケーキのこと)という意味で,見た目が年輪のようになっているところから呼ばれています.
具体例を使って計算方法を記します.
円錐の体積をバウムクーヘン積分で求める.
図のように,底面が半径:の円,高さ:の円錐があります.この体積をバウムクーヘン積分で求めます.
- 回転軸から だけ離れたところにある「円筒」の高さは,となります.
- この円筒の側面積は,となります.
- これに微小な厚み:をかけて足し合わせれば(積分をすれば),
と公式どおりの式が求められました.
で,この計算,今年しれーっと出てるところがありました.
2019年京大物理第2問(2)
この図が出てくる問題です.
この円内を通る磁束(磁束密度を足し合わせた量)を求めている式として,問題文中に以下のように記されています.
円錐の高さが と変わっているだけです.
で,この式を用いて半径:の内側にある磁束を求めなさいという問いがあります.単に,バウムクーヘンの積分範囲が となるだけなので,
と求められます.
また,下の図のように半径:の部分が赤い線で描いたように「2階建て」になっているとみてあげると,上は先に与えられている式から*1,下は単なる円柱の体積と考えて計算することもできます.
また京大さんの物理の問題は取り上げたいと思っていますが,今年はなんか計算量が多そうです.解いた後は,バウムクーヘンで糖分補給したいぐらいな感じです.
*1:高さが ,底面の半径が と変わったとすればよい.